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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

July 31, 2008
Vol. 359 No. 5

ORIGINAL ARTICLE

  • 胃癌に対する D2 リンパ節郭清と傍大動脈リンパ節郭清の併施
    D2 Lymphadenectomy plus PAND for Gastric Cancer

    日本で行われたこのランダム化試験では,治癒可能な胃癌の手術治療として,胃切除に加え,拡大(D2)リンパ節郭清を単独で行う治療と,D2 リンパ節郭清と傍大動脈リンパ節郭清(PAND)を併施する治療の比較が行われた.全生存率に有意な群間差は認められなかった.日本において,D2 リンパ節郭清を伴う胃切除術は,治癒可能な胃癌の手術治療として依然として好ましい方法である.

  • HIV 腟感染予防における硫酸セルロースゲルの有効性の欠如
    Lack of Effectiveness of Cellulose Sulfate Gel for the Prevention of Vaginal HIV Transmission

    ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の男性から女性への伝播に対して,女性を主体とした予防策が必要とされている.インド,アフリカにおいて腟用の 6%硫酸セルロースゲルを使用したこの試験では,1,398 例の女性を,性行為前にゲルを使用する群とプラセボを使用する群に無作為に割り付けた.このゲルを使用しても HIV 感染やほかの性感染症は予防されず,HIV への感染リスクが高まった可能性がある.

  • 急性心筋梗塞における再灌流障害に対するシクロスポリンの効果
    Effect of Cyclosporine on Reperfusion Injury in Acute Myocardial Infarction

    シクロスポリンが心筋再灌流障害を低減させる可能性が,実験的証拠により示唆されている.パイロット試験で,ST 上昇型急性心筋梗塞患者 58 例を,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行直前に,シクロスポリンを静脈内ボーラス投与する群と生理食塩水を投与する群に無作為に割り付けた.シクロスポリン群の患者では,クレアチンキナーゼの放出が有意に減少した.これらの結果は,より大規模な試験で確認する必要がある.

SPECIAL ARTICLE

  • 喫煙禁止法と急性冠症候群による入院
    Smoke-free Legislation and Hospital Admission for Acute Coronary Syndrome

    スコットランドにおいて,公共の場での喫煙を禁止する法律が制定されたあと,急性冠症候群による入院数が 17%減少した.減少率は非喫煙者のほうが喫煙者よりも大きく,受動喫煙を減らすことで公衆衛生上の利益が得られることが示唆される.

MEDICAL PROGRESS

  • 悪性神経膠腫
    Malignant Gliomas

    成人にもっともよくみられるタイプの原発性脳腫瘍である悪性神経膠腫は,癌に関連した罹患率と死亡率に密接に関わっている.近年,悪性神経膠腫の分子レベルでの病因の解明が進み,治療が大きく進歩している.この総説では,成人における悪性神経膠腫の診断と管理について要点をまとめ,新たな前進に焦点を当てている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 出産後に錯乱,興奮,妄想を呈した女性
    A Woman with Postpartum Confusion, Agitation, and Delusions

    35 歳の女性が,第 1 子を出産した 5 日後,錯乱,興奮,妄想を呈したため精神科に入院した.女性は 2 年前に双極性障害の診断を受けており,リチウムとシタロプラムによる治療が行われていた.妊娠するために薬剤の服用を中止したが,再発しても授乳ができなくなるため薬剤の投与は受けないとはっきり意思表示していた.

HEALTH LAW, ETHICS, AND HUMAN RIGHTS

  • 患者が起こした事故に対する不法行為賠償責任
    Tort Liability for Patient-Caused Accidents

    著者は Coombes Florio 裁判について論じている.この裁判では,車を運転していて事故を起こし,1 人の子供を死なせてしまった患者の主治医に対する訴えを棄却した事実審での判決が,マサチューセッツ州最高裁判所により覆された.事実審では,医師の責任の対象は患者に限定されるという判決が下されたが,裁判所は,運転の妨げとなることが予想される薬剤の副作用について医師が患者に通知することを怠った場合,自動車事故の被害者は運転者の主治医を訴えることができるという判断を示した.