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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 21, 2021
Vol. 384 No. 3

This Week in the JOURNAL

ORIGINAL ARTICLES

  • 鎌状赤血球症治療のための BCL11A の抑制
    Inhibiting BCL11A to Treat Sickle Cell Disease

    ヒトにおける胎児ヘモグロビン(HbF)から成人ヘモグロビンへの切り替わりには,BCL11A による HbF 発現の積極的な抑制が関係している.BCL11A の発現を妨げるようにデザインされた短鎖ヘアピン RNA を有する自己不活性化レンチウイルスベクターが,鎌状赤血球症患者の自家造血幹細胞に挿入されることにより,HbF 発現が増加し,鎌状赤血球クリーゼの頻度が低下した.

  • 一次予防におけるポリピル単独とアスピリンとの併用と比較
    Polypill with or without Aspirin in Primary Prevention

    心血管疾患を有しないがリスクの高い参加者を,ポリピル(スタチンと 3 種類の降圧薬を含有)またはプラセボの投与,アスピリンまたはプラセボの投与に無作為に割り付けた.4.6 年の時点で,心血管イベントの発生率は,ポリピルとアスピリンを投与された参加者のほうが両方ともプラセボを投与された参加者よりも低かった.

  • Covid-19 に対する中和抗体療法
    Neutralizing-Antibody Therapy in Covid-19

    第 2 相試験で,中和抗体 LY-CoV555 の単回静注を 2,800 mg の用量で受けた Covid-19 外来患者では,プラセボ投与を受けた患者と比較して,ウイルス量がベースラインから大きく減少した.入院の頻度は抗体治療を受けた患者のほうが低かった(1.6% 対 6.3%).

  • SARS-CoV-2 感染初期に対する抗体カクテル
    Antibody Cocktail in Early SARS-CoV-2 Infection

    抗 SARS-CoV-2 抗体カクテルが,PCR 検査による Covid-19 確認後 3 日以内の患者に投与された.ベースライン時に抗体陰性であった患者では,投与は迅速なウイルス排除と関連し,受診を必要とする頻度がより低いことと関連する可能性を示した.ベースライン時に抗体陽性であった患者では,効果はそれほど顕著ではなかった.

  • 短報:メンデル遺伝病に対する遺伝子編集
    Brief Report: Gene Editing for Mendelian Disease

    輸血依存性のβサラセミアの 1 例と鎌状赤血球症の 1 例に対し,BCL11A を標的とする CRISPR-Cas9 により編集した自家 CD34 陽性細胞が投与された.その後 16~18 ヵ月間の臨床経過から,これらの疾患を治療するための CRISPR-Cas9 による遺伝子編集について,さらに実験的検証評価を行うことが支持される.

REVIEW ARTICLE

  • 感染が自然免疫に及ぼす影響
    Effects of Infection on Natural Immunity

    抗原非特異的な宿主防御は感染により変化し,自然免疫のエフェクター細胞ではエピジェネティックな変化が生じる.こうした変化は,免疫応答を増強させるものもあれば,抑制するものもある.一部のワクチン接種アプローチの成功は,過去の感染のエピジェネティックな有害作用を逆転させる方法の発見に依拠している可能性がある.

Videos, Images, and Multimedia

IMAGES IN CLINICAL MEDICINE

  • 骨盤内脾症
    Pelvic Splenosis

    骨盤内脾症

    34 歳の女性が,間欠的な骨盤の痛みを訴えて受診した.骨盤 MRI で,複数の充実性腫瘤が認められた.探索的腹腔鏡検査が行われ,骨盤内脾症の診断が下された.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 心室頻拍とショックを呈する妊娠女性
    A Pregnant Woman with Ventricular Tachycardia and Shock

    心室頻拍とショックを呈する妊娠女性

    26 歳の妊娠女性が,妊娠 32 週で心停止後の心原性ショックで受診した.トロポニン T が著明に上昇しており,心電図で右脚ブロックが認められ,心エコー(動画で示す)では左室収縮能の低下が認められた.体外式膜型人工肺(ECMO)が使用された.診断が下され,管理の意思決定がなされた.

NEJM QUICK TAKE

  • 鎌状赤血球症を治療する
    Treating Sickle Cell Disease

    鎌状赤血球症を治療する

    HLA 一致同胞ドナーからの同種造血幹細胞移植によって,鎌状赤血球症患者の 90%以上で治癒が得られるが,ドナーが存在しないことが多い.胎児ヘモグロビン(HbF)を誘導するための遺伝子編集戦略で,症状を抑制できるかどうかは明らかにされていない.新しい研究知見が短い動画にまとめられている.

  • 鎌状赤血球症とβサラセミアに対する遺伝子編集
    Gene Editing for Sickle Cell Disease and β-Thalassemia

    鎌状赤血球症とβサラセミアに対する遺伝子編集

    最近承認された治療法により,βサラセミアにおける輸血の必要性と,鎌状赤血球症における血管閉塞性イベントの発生率が低下しているが,いずれの治療も,根本原因に対処するものでも,症状の発現を十分に緩和するものでもない.CRISPR-Cas9 により BCL11A エンハンサーを標的とすることで,胎児ヘモグロビン(HbF)の産生が活性化され,臨床症状の発現を抑制する可能性がある.新しい研究知見が短い動画にまとめられている.

PERSPECTIVE AUDIO INTERVIEW

  • Covid-19 の検査に関する考察
    Reflections on Covid-19 Testing

    Covid-19 の検査に関する考察

    Pardis Sabeti が,流行時に検査を行うことの重要性と,米国の検査法が不十分であった理由について論じている.