移植肺における細気管支肺胞上皮癌の再発
Recurrence of Bronchioloalveolar Carcinoma in Transplanted Lungs
R.I. GARVER, JR., AND OTHERS
細気管支肺胞上皮癌は,典型的な肺腺癌から区別されるサブタイプの一つで,肺の全域に広く転移するが肺以外への転移はあまり起らないという傾向がある.肺内に局所転移した細気管支肺胞上皮癌に対する従来の治療法は概して無効であることから,われわれは,肺内に局所転移した細気管支肺胞上皮癌の 7 例の患者に肺移植の治療を行った.
生検で細気管支肺胞上皮癌であることが確認され,肺以外への転移病巣を示すような所見が認められない 7 例の患者に,死体肺の片肺または両肺を移植した.この移植では,患者の肺組織を全摘して,ドナーから提供された片肺または両肺と置き換えた.これらの患者には,当施設で実施されている通常の移植後ケアを行った.
これらの患者 7 例のうち 4 例に,ドナーから提供された肺に細気管支肺胞上皮癌が再発した;再発時期は移植後 10~48 ヵ月目であった.再発部位は,すべてドナーからの肺に限局していた.組織学的検査と分子分析から,3 例の患者に再発した腫瘍が,移植レシピエント由来のものであることが示された.
細気管支肺胞上皮癌に対する肺移植は,技術的には実施可能であるが,移植後 4 年目までに,レシピエントに発生していた腫瘍がドナーから提供された肺に再発することが多 かった.