The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 15, 1999 Vol. 340 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

52 例の高インスリン血症の新生児の臨床特徴
Clinical Features of 52 Neonates with Hyperinsulinism

P. DE LONLAY-DEBENEY,AND OTHERS

背景

新生児の高インスリン血症性低血糖症は,内科療法に抵抗性を示すことが多く,しばしば全摘に近い膵切除術による治療が行われる.しかしながら,その膵病変は限局性で,膵臓の部分切除によって治療可能なものかもしれない.

方 法

外科的治療を受けた高インスリン血症の新生児,52 例を対象として検討を行った.膵臓の病変の種類と部位を,術前の膵カテーテル法および術中の組織学的検査によって確定した.局在性病変の新生児には部分的な膵切除術を行い,びまん性病変の新生児には膵亜全摘術を行った.術後の治療結果は,血漿中のグルコースおよびグリコシル化ヘモグロビンの測定,および経口糖負荷試験(OGTT)によって評価した.

結 果

これらの新生児の 30 例にはびまん性の膵β細胞の機能亢進が認められ,残りの 22 例には局在性の腺腫様膵島細胞の過形成が認められた.後者の新生児の病変部位は,9 例が膵頭部,3 例が峡部,8 例が膵体部,そして 2 例が膵尾部であった.臨床的に顕在化していた所見は両群とも同様のものであった.局在性病変の新生児では,部分膵切除術(22 例の新生児のうちの 19 例に実施)後に,低血糖症の症状はまったく認められず,食前および食後の血漿中のグルコースとグリコシル化ヘモグロビンの値は正常で,経口糖負荷試験の結果も正常であった.これとは対照的にびまん性病変の患者では,膵亜全摘後も 13 例に低血糖症が持続し,8 例には I 型の糖尿病が発症し,別の 7 例には高血糖症が発症した;びまん性病変の患者の全体では,術後 1 年目のグルコースの血漿中濃度が正常になったのは 2 例しかいなかった.

結 論

高インスリン血症の新生児の約半数は,部分膵切除術で治療可能な局在性の膵島細胞の過形成であることが考えられる.これらの新生児は,膵カテーテル法と術中の組織学的検査で識別することが可能である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 1169 - 75. )