The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

April 29, 1999 Vol. 340 No. 17

マルファン症候群の患者における大動脈起始部の置換術
Replacement of the Aortic Root in Patients with Marfan's Syndrome

V.L. GOTT AND OTHERS

背景

マルファン症候群の患者では,大動脈起始部の人工移植片および人工弁での置換術が,動脈瘤の破裂や大動脈解離による早期死亡を防ぐ可能性がある.そこで,われわれは,この手術手技の治療成績を,経験豊かな外科施設 10 施設において再評価した.

方 法

マルファン症候群の患者に対する大動脈起始部の置換術は,合計で 675 例に実施されていた.生存率および無病生存率を算出して,それらの生存率曲線を描いた.また,危険因子は多変量回帰分析によって求めた.

結 果

30 日目までの死亡率は,待機血行再建術を受けた 455 例の患者では 1.5%,至急血行再建術を受けた 117 例の患者では 2.6%(外科の診療を受けてから 7 日以内),緊急血行再建術を受けた 103 例の患者では 11.7%(外科の診療を受けてから 24 時間以内)であった.これらの 675 例の患者のうち,上行大動脈を巻き込んだ大動脈解離が発生していたのは 202 例(30%)であった.大動脈解離の患者で,大動脈の直径が測定されていた 158 例の成人患者の 46%は,動脈瘤の直径が 6.5 cm 以下であった.遅発死亡(術後 30 日以降の死亡)は 114 例であった; 遅発死亡の主な死因は,残存大動脈の解離または破裂(22 例)と不整脈(21 例)であった.死亡のリスクは,術後 60 日目までがもっとも高く,その後急激に低下し,術後 1 年目が終了するまでには一定の水準になった.

結 論

大動脈起始部の待機置換術は,手術による死亡率は低い.これとは対照的に,通常は急性の大動脈解離が適応である緊急血行再建術では,手術に関連した早期死亡率がかなり高い.大動脈解離の成人患者のほぼ半数が,手術時に直径が 6.5 cm 未満の動脈起始部を有していたことから,マルファン症候群の患者に対しては,大動脈の直径がこれよりもかなり小さい場合には,大動脈瘤の予防的血行再建術を行うのが賢明かもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 1307 - 13. )