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February 18, 1999 Vol. 340 No. 7

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重症複合免疫不全症の治療における造血幹細胞移植
HEMATOPOIETIC STEM-CELL TRANSPLANTATION FOR THE TREATMENT OF SEVERE COMBINED IMMUNODEFICIENCY

R.H. BUCKLEY AND OTHERS

背景

1968 年以来,骨髄移植が重症複合免疫不全症を軽快させることが知られているが,この治療法の長期有効性に関するデータは限られている.われわれは,デューク大学医療センター(Duke University Medical Center)で,1982 年 5 月~1998 年 9 月までに造血幹細胞移植を受けた一連の重症複合免疫不全症 89 例の乳幼児を対象として,その免疫機能についてプロスペクティブに検討を行った.

方 法

血清免疫グロブリン濃度とリンパ球の表現型および機能を評価し,標準的な方法によって遺伝子分析を行った.移植骨髄は,移植前に,大豆レクチンによる凝集およびヒツジ赤血球ロゼット形成によって T 細胞を取り除いた.

結 果

これら乳幼児の 77 例は,T 細胞を除去した HLA 遺伝子型の半分が一致するhaploidentical の親の骨髄,残りの 12 例は血縁者ドナーからの HLA 一致骨髄の提供を受けた; Haploidentical 骨髄の提供を受けた 3 例のレシピエントには,非血縁者ドナーからの臍帯血も移植された.臍帯血移植を受けた 2 例の患者以外には,移植前の化学療法あるいは移植片対宿主病に対する予防処置が行われたレシピエントはいなかった.89 例の乳幼児のうち 72 例(81%)において,移植後 3 ヵ月~ 16.5 年の生存が確認されており,これらの患者の内訳は,HLA 一致骨髄の提供を受けた 12 例すべてと haploidentical 骨髄の提供を受けた 77 例のうち 60 例(78%),haploidentical 骨髄と臍帯血の両方の提供を受けた 3 例のうち 2 例(67%)であった.T 細胞の機能は,未分画の HLA 一致骨髄の提供を受けた患者では,移植後 2 週間以内に正常になったが,T 細胞を除去した骨髄の提供を受けた患者では,一般に,移植後 3~4 ヵ月目までは正常にならなかった.もっとも最近の評価時点では,72 例の生存者のうち 4 例を除いては T 細胞の機能が正常で,血液中の T 細胞のすべてがドナー由来のものであった.B 細胞の機能は,haploidentical 骨髄の提供を受けたレシピエントの多くで異常のままであった.26 例の小児(HLA 一致骨髄の提供を受けた 5 例のレシピエントと,haploidentical 骨髄の提供を受けた 21 例のレシピエント)では,その B 細胞の 2~100%がドナー由来のものであった.72 例の小児のうち 45 例が,免疫グロブリンの静脈内投与を受けていた.

結 論

血縁者ドナーからの骨髄移植は,たとえ HLA 一致ドナーがいない場合であっても,重症複合免疫不全症のあらゆるタイプの患者に対する救命および延命治療である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 508 - 16. )