February 18, 1999 Vol. 340 No. 7
特発性低身長小児の成人身長に対する成長ホルモン治療の効果
EFFECT OF GROWTH HORMONE TREATMENT ON ADULT HEIGHT OF CHILDREN WITH IDIOPATHIC SHORT STATURE
R.L. HINTZ, K.M. ATTIE, J. BAPTISTA,
特発性低身長小児に対する成長ホルモンの短期投与は,身長の伸び率と身長の標準偏差スコアを増加させるという結果が得られている.しかしながら,これらの小児の成人身長に対する成長ホルモンの長期治療の効果については不明である.
特発性低身長の 121 例の小児を対象に検討を行った.これらのすべては,治療前の身長が第 3 パーセンタイル未満で,身長の伸び率が小さいが,成長ホルモン分泌刺激試験における成長ホルモンの血清中最大濃度が 10 μg/L 以上であった.これらの小児には,成長ホルモンの治療(1 週間当り 0.3 mg/kg 体重)が 2~10 年にわたって行われた.80 例の小児が成人身長にまで成長した.すなわち,骨年齢が少年は 16 歳以上,少女は 14 歳以上で,思春期ステージが 4 または 5 に達した.治療前の予測成人身長と到達成人身長との差を,無治療で正常あるいは低身長の三つの対照群のそれと比較した.
成人身長にまで達した 80 例の小児では,身長の平均標準偏差スコア(暦年齢の平均身長からの差を標準偏差で表した数値)が,成長ホルモンの治療によって -2.7 から -1.4 に増加した.治療前の予測成人身長と到達成人身長との差の平均値(±SD)は,少年が +5.0±5.1 cm,少女が +5.9±5.2 cm であった.治療した少年の予測成人身長と到達成人身長との差は,治療前の標準偏差スコアが -2 未満であった無治療少年の差よりも 9.2 cm 大きかった.また,治療少女の差は無治療少女の差よりも 5.7 cm 大きかった.
特発性低身長の小児に対する成長ホルモンの長期投与は,成人身長を,予測成人身長および無治療のヒストリカル対照の小児の成人身長よりも高くすることができる.