September 30, 1999 Vol. 341 No. 14
末期冠動脈疾患の患者における炭酸ガスレーザーによる経心筋的血行再建術
Transmyocardial Revascularization with a Carbon Dioxide Laser in Patients with End-Stage Coronary Artery Disease
O.H. FRAZIER, R.J. MARCH, AND K.A. HORVATH
心筋層の虚血領域の灌流を目的として,1950 年代から,心内膜下脈管の形成が研究されている.今回,われわれは,難治性の狭心症および冠動脈の血行再開の直接治療を受けることが不可能であった左室自由壁の虚血患者を対象として,炭酸ガスレーザーによる経心筋的血行再建術の安全性と有効性の評価を行った.
多施設共同前向き対照試験において,91 例の患者を経心筋的血行再建術に,101 例を薬物治療の継続に無作為に割り付けた.狭心症の重症度(カナダ心血管学会 [CCS] 分類),QOL,および心灌流(タリウム-201 スキャンによる評価)を,ベースライン時と,無作為化後 3 ヵ月目,6 ヵ月目,12 ヵ月目に評価した.
12 ヵ月目の時点において,狭心症の CCS 分類による少なくとも 2 段階の改善は,経心筋的血行再建術に割り付けられた患者の 72%に認められたのに対して,薬物治療に割り付けられて治療を継続した患者では 13%にしか認められなかった(p< 0.001).QOL も,経心筋的血行再建術群の患者では,薬物治療群の患者と比較して有意に改善していた.また,心筋灌流は,経心筋的血行再建術群では 20%の改善が認められたのに対して,薬物治療群では 27%悪化していた(p = 0.002).1 年目までの追跡調査において,不安定狭心症のために入院した患者は,経心筋的血行再建術に割り付けられた患者では 2%にすぎなかったのに対して,薬物治療に割り付けられた患者では 69%であった(p < 0.001).経心筋的血行再建術に関連した周術期の死亡率は 3%であった.12 ヵ月目までの生存率は,経心筋的血行再建術群が 85%,薬物治療群が 79%であった(p = 0.50).
薬物治療に不応性の狭心症,および冠動脈バイパス術や経皮的冠動脈形成術を受けることができなかった冠動脈疾患の患者において,経心筋的血行再建術は,12 ヵ月間にわたって心灌流と臨床状態を改善させた.