The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

July 15, 1999 Vol. 341 No. 3

高齢者における大動脈弁硬化症と循環器疾患による死亡率および 罹患率との関連
Association of Aortic-Valve Sclerosis with Cardiovascular Mortality and Morbidity in the Elderly

C.M. OTTO, B.K. LIND, D.W. KITZMAN, B.J. GERSH, AND D.S. SISCOVICK

背景

大動脈弁狭窄症が循環器疾患の有害転帰に関連していることは明らかであるが,大動脈弁硬化症が循環器系イベントのリスクを上昇させているのかどうかについては明らかにされていない.

方 法

地域住民をベースにした前向コホート研究に参加した 65 歳以上の男女 5,621 例を対象として,研究開始時点に得られた心エコー図の評価を行った.この心エコー図の評価では,70%(3,919 例)で大動脈弁が正常であったが,29%(1, 610 例)に駆出の閉塞を伴わない硬化症が,2%(92 例)に狭窄が認められた.これらの被験者には平均値で 5.0 年間にわたる追跡調査を行い,何らかの原因による死亡および循環器疾患を原因とする死亡のリスクを評価した.循環器疾患への罹患は,心筋梗塞,狭心症,うっ血性心不全,または脳卒中のエピソードの新規発症と定義した.

結 果

何らかの原因による死亡(傾向に関する p 値,< 0.001)および循環器疾患を原因とする死亡(傾向に関する p 値,< 0.001)は,大動脈弁の異常が増加するにつれて段階的に上昇した; それぞれの原因による死亡率は,大動脈弁が正常な群では14.9%および 6.1%,大動脈硬化症群では 21.9%および 10.1%,大動脈狭窄症群では41.3%および 19.6%であった.研究開始時点に冠動脈心疾患を有していなかった対象者では,大動脈弁硬化症群の正常群に対する循環器疾患による死亡の相対危険度は,年齢と性別で補正すると 1.66(95%信頼区間,1.23 ~2.23)であった.この相対危険度は,硬化症と関連のある臨床因子での補正を加えても上昇したままであった(相対危険度,1.52; 95%信頼区間,1.12 ~ 2.05).大動脈硬化症の被験者の大動脈弁が正常な被験者に対する心筋梗塞の相対危険度は,1.40(95%信頼区間,1.07 ~ 1.83)であった.

結 論

大動脈硬化症は,高齢者で広く認められ,たとえ血行力学的に左室からの駆出に重大な意味のある閉塞が認められなくても,循環器疾患を原因とする死亡のリスクおよび心筋梗塞のリスクの約 50%の上昇と関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 142 - 7. )