The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

July 15, 1999 Vol. 341 No. 3

偽性アルドステロン減少症における肺上皮のナトリウムチャネル機能障害と過剰な気道分泌液
Pulmonary Epithelial Sodium-Channel Dysfunction and Excess Airway Liquid in Pseudohypoaldosteronism

E. KEREM AND OTHERS

背景

ナトリウムの能動吸収は,気道上皮におけるイオン輸送の主たるメカニズムであるが,肺生理学と気道の生体防御における役割についてはわかっていない.この問題を検討するために,われわれは,上皮ナトリウムチャネル遺伝子の機能喪失を伴う突然変異によって引き起される塩喪失性障害の一つである全身性の偽性アルドステロン減少症の患者において,気道上皮細胞の機能を研究し,肺症状の発現頻度を調査した.

方 法

全身性偽性アルドステロン減少症の年齢が 1.5 ~ 22 歳までの 9 例の患者において,上皮ナトリウムチャネルの遺伝子変異を調べるための遺伝子検査,気道のナトリウム輸送速度の推定,気道表面の分泌液の容量とそのイオン組成の測定,臨床特徴の精査,および肺機能に関連した臨床検査データの収集を行った.さらに,3 例の成人患者については粘液線毛クリアランスも測定した.

結 果

全身性偽性アルドステロン減少症の患者は,上皮ナトリウムチャネルのサブユニットの遺伝子に機能喪失性突然変異を有し,気道表面からのナトリウム吸収が認められなかった.気道表面の分泌液の容量も正常値の 2 倍を超えていた.粘液線毛の平均輸送速度(± SE)は,この測定を行った 3 例の成人患者では 12 例の正常被験者よりも速かった(2.0 ± 0.7%/ 分 対 0.5 ± 0.3%/ 分,p = 0.009).幼い患者(5 歳以下)では,その全例に胸部うっ血,咳嗽,および喘鳴のエピソードが繰り返し発現していたが,Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)や Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)による気道感染症は認められなかった.これよりも高年齢(>5 歳)の患者では,呼吸器症状の発現頻度は低かった.

結 論

全身性偽性アルドステロン減少症の患者は,気道表面から分泌液を吸収することができない; その結果,気道内の分泌液量が増加している.これらの試験結果は,ナトリウム輸送には気道表面の分泌液量を調節する役割があることを示している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 156 - 62. )