December 2, 1999 Vol. 341 No. 23
新生児の頭蓋内損傷における未産婦の分娩様式による影響
Effect of Mode of Delivery in Nulliparous Women on Neonatal Intracranial Injury
D. TOWNER, M.A. CASTRO, E. EBY-WILKENS, AND W.M. GILBERT
吸引分娩や他の術式によって出生した乳幼児は,自然分娩で出生した乳幼児よりも重大な損傷を受ける可能性があるが,そのリスクの程度については不明である.
カリフォルニアのデータベースの一つから,1992~94 年に未産婦から単胎児として出生した体重 2,500~4,000 g の乳幼児,583,340 例を同定した.その 1/3 が,手術手技を用いて分娩されていた.今回,われわれは,分娩様式と乳幼児の障害との関連についての評価を行った.
頭蓋内出血は,吸引分娩で出生した乳幼児では 860 例に 1 例,鉗子分娩で出生した乳幼児では 664 例に 1 例,分娩中に緊急施行された帝王切開術で出生した乳幼児では 907 例に 1 例,陣痛がない状態で予定帝王切開術により出生した乳幼児では 2,750 例に 1 例,自然分娩で出生した乳幼児では 1,900 例に 1 例の率で発生していた.硬膜下出血または脳出血の発生率は,自然分娩で出生した乳幼児と比較すると,吸引分娩で出生した乳幼児では有意に高く(オッズ比,2.7;95%信頼区間,1.9~3.9),鉗子分娩で出生した乳幼児(オッズ比,3.4;95%信頼区間,1.9~5.9)や,分娩中の帝王切開術で出生した乳幼児(オッズ比,2.5;95%信頼区間,1.8~3.4)も高かった.しかし,吸引分娩に伴う硬膜下出血または脳出血の発生率には,鉗子分娩に伴う発生率(吸引分娩と比較したオッズ比,1.2;95%信頼区間,0.7~2.2)や,分娩中の帝王切開術に伴う発生率(オッズ比,0.9;95%信頼区間,0.6~1.4)との有意差は認められなかった.
頭蓋内出血の発生率は,自然分娩で出生した乳幼児と比較して,吸引分娩,鉗子分娩,分娩中の帝王切開術のいずれかによって出生した乳幼児では高いものの,陣痛開始前の帝王切開術で出生した乳幼児では高くない.このことは,変則的な分娩が出血の共通した危険因子であることを示唆している.