December 23, 1999 Vol. 341 No. 26
カナダにおいて冠動脈ステント留置の普及後に向上した臨床転帰
Improved Clinical Outcome after Widespread Use of Coronary-Artery Stenting in Canada
J.M. RANKIN AND OTHERS
冠動脈ステント留置の導入および進歩は,1990 年代半ばに,経皮的冠動脈血行再建の臨床を大きく変化させた.われわれは,冠動脈ステント留置の施行が転帰の向上に関連しているかどうかを調べるために,カナダの大規模な非選別患者集団において実施されたすべての経皮的冠動脈介入について,1 年間追跡調査したデータを解析した.
カナダのブリティッシュコロンビア州の居住者に対して 1994 年 4 月~97 年 6 月に実施されたすべての経皮的冠動脈介入について前向きに収集したデータを,州規模の保健医療のデータベースに結びつけ,以下のエンドポイントの発生日を求めた: 介入以降の標的血管の血行再建,心筋梗塞,および死亡.試験開始時の患者背景および介入手技の違いを識別し,9,594 件の手技を七つの群に分類して,半年ごとに Kaplan–Meier 生存曲線を描いた.
合併症全体の負荷には,試験の全期間を通して変化がなかった.冠動脈ステント留置の施行率の増大は(1994 年の 4 月~6 月まで期間は 14.2%で,1997 年の 1 月~6 月までの期間には 58.7%に増加),施行後 1 年目までの心臓系の有害事象の発生率の有意な減少と関連していた(28.8%から 22.8%に減少; 補正相対危険度,0.79; 95%信頼区間,0.69~0.90; p < 0.001).この有害事象の減少は,介入以降に行われた標的血管の血行再建率が大きく減少していたことにのみよるものであり(24.4%から 17.0%に減少; 補正相対危険度,0.72; 95%信頼区間,0.62~0.83; p < 0.001),心筋梗塞の全発症率(5.4%,p = 0.28)や死亡の全発生率(3.9%,p = 0.65)には有意な変化は認められなかった.
1990 年代半ばに,経皮的冠動脈介入後 1 年間の追跡調査期間中における標的血管の血行再建の必要性が減少した.この減少は,冠動脈ステント留置の導入とその後の普及に一致したものであった.