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December 23, 1999 Vol. 341 No. 26

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モノクローナル抗 IgE 抗体によるアレルギー性喘息の治療
Treatment of Allergic Asthma with Monoclonal Anti-IgE Antibody

H. MILGROM AND OTHERS

背景

アレルギー性喘息の病因には,IgE を介した免疫応答が重要である.遺伝子組換えヒト型モノクローナル抗体(rhuMAb-E25)は,遊離 IgE と複合体を形成して,遊離 IgE とマスト細胞および好塩基球との相互作用を遮断する.今回,われわれは,中等症~重症のアレルギー性喘息の治療としての rhuMAb-E25 の有効性を検討した.

方 法

コルチコステロイドの吸入あるいは経口投与(あるいは,その両方)が必要であった 317 例の被験者(年齢,11~50 歳)を,4 週間の組み入れ準備期間が終了した後に,プラセボまたは rhuMAb-E25 療法の二つのレジメンのうちの一つに無作為に割り付けた: rhuMAb-E25 の二つのレジメンは,高用量 rhuMAb-E25(5.8 μg/kg 体重/ng/mLIgE)または低用量 rhuMAb-E25(2.5 μg/kg 体重/ng/mLIgE)を,試験 0 日目(半量),試験 4 日目(半量),試験 7 日目(全量),およびその後 20 週間にわたって 2 週間ごとに静脈内投与するレジメンであった.試験開始後 12 週目までのあいだは,被験者には,本試験に組み入れられる前に受けていたコルチコステロイドのレジメンを継続して行った.この治療を中止することを目指して,その後 8 週間は,コルチコステロイドの用量を漸減していった.転帰の主要評価尺度は,症状なしをスコア 1,非常に高度の症状をスコア 7 として表した 7 段階の尺度によって評価した試験 12 週目における喘息症状のスコアの改善であった.

結 果

全体では,106 例の被験者が rhuMAb-E25 の高用量投与に,106 例がこの低用量投与に,105 例がプラセボ投与に割り付けられた.ベースラインでの喘息症状の平均スコアは 4.0 であった.この平均(± SD)スコアは,治療の 12 週間後には,プラセボ群では 3.1 ± 0.1 であったのに対して,高用量群では 2.8 ± 0.1(p = 0.008),低用量群では 2.8 ± 0.1(p = 0.005)であった.そして,試験 20 週間目には,プラセボ群では 2.9 ± 0.1 であったのに対して,高用量群(p = 0.048)と低用量群(p = 0.14)のどちらもにおいても 2.7 ± 0.1 であった.コルチコステロイドの使用を減量または中止できた患者は,プラセボ群よりも rhuMAb-E25 の 2 群で多かったが,ここでみられた差のいくつかだけが有意であった.20 週間後の血清中遊離 IgE 濃度は,rhuMAb-E25 の両群とも平均で 95%以上低下した.この治療は十分に忍容できるものであった.さらに,20 週間後に,rhuMAb-E25 に対する抗体が検出された被験者はいなかった.

結 論

IgE に対する遺伝子組換えヒト型モノクローナル抗体は,中等症から重症までのアレルギー性喘息の被験者の治療としての可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 1966 - 73. )