December 23, 1999 Vol. 341 No. 26
卵管の子宮外妊娠の女性におけるメトトレキサート治療の成功の予測因子
Predictors of Success of Methotrexate Treatment in Women with Tubal Ectopic Pregnancies
G.H. LIPSCOMB AND OTHERS
卵管の子宮外妊娠の女性に対する治療としてのメトトレキサートの使用は,今日では,日常診療で一般的に行われるようになっている.しかしながら,この治療法の成否を決める臨床およびホルモンに関する決定因子はわかっていない.
単回投与プロトコールに従ってメトトレキサートの筋肉内投与の治療を受けた卵管の子宮外妊娠の女性,350 例を対象として検討した.治療前のヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)およびプロゲステロンの血清中濃度,妊娠腫瘤像の大きさと体積,胎児の心臓活動,および腹腔内の体液(おそらく血液)の貯留について,外科的施行の必要としない子宮外妊娠の解決として定義した治療の有効性との相関関係を検討した.
女性の年齢や出産歴,受胎産物の大きさや体積,あるいは腹腔内の体液貯留と治療の有効性とのあいだには,何の関係も認められなかった.血清中の絨毛性ゴナドトロピンおよびプロゲステロンの平均(± SD)濃度については,治療が成功した 320 例(91%)の女性では,それぞれ 4,019 ± 6,362 mlU/mL および 6.9 ± 6.7 ng/mL(21.9 ± 21.3 nmol/L)であったのに対して,治療が失敗した 30 例の女性では 13,420 ± 16,590 mlU/mL および 10.2 ± 5.5 ng/mL(32.4 ± 17.5 nmol/L)であった(p < 0.001 および p = 0.02).胎児の心臓活動は,治療成功例の 12%および治療失敗例の 30%で確認された(p = 0.01).回帰分析の結果からは,治療前の絨毛性ゴナドトロピンの血清中濃度が,治療の無効率に関与している唯一の要因であることが明らかにされた.
卵管の子宮外妊娠の女性では,血清中の絨毛性ゴナドトロピン濃度が高値になっていることが,メトトレキサートの単回投与プロトコールによる治療の無効と関連のあるもっとも重要な要因である.