December 30, 1999 Vol. 341 No. 27
第二トリメスター期の絨毛性ゴナドトロピンの血清中濃度と妊娠の合併症と転帰
Second-Trimester Serum Chorionic Gonadotropin Concentrations and Complications and Outcome of Pregnancy
D.L. WALTON, C.T. NOREM, E.J. SCHOEN, G.T. RAY, AND C.J. COLBY
母親の絨毛性ゴナドトロピンの血清中濃度は,胎児の染色体異常のスクリーニングとして測定されている.この測定結果が,合併症あるいは妊娠の有害転帰のリスク予測に利用できるかどうかということについてはわかっていない.
合併症と妊娠の転帰に関する情報を収集するために,妊娠の第二トリメスター期に絨毛性ゴナドトロピンが測定されていた 28,743 例の少女および女性の医療記録を調査した(1995 年 7 月 1 日~1997 年 1 月 31 日の期間).合併症あるいは妊娠の有害転帰に対する他の危険因子をすでに有していた少女および女性は除外した.
血清絨毛性ゴナドトロピン濃度の高値は,死産の割合の増加と関連していた(絨毛性ゴナドトロピンがその中央値の 1 倍量上昇するごとのオッズ比,1.4;95%信頼区間,1.1~1.9).しかしながら,血清絨毛性ゴナドトロピン濃度の高値と,妊娠糖尿病,前期破水,または子宮内胎児発育不全や在胎期間に対する低体重のリスクとの関連は認められなかった(オッズ比,1.1;95%信頼区間,0.9~1.2).胎盤異常(オッズ比,1.5;95%信頼区間,1.3~1.7),妊娠高血圧(オッズ比,1.4;95%信頼区間 1.3~1.5),および妊娠高血圧を伴わない早産(オッズ比,1.1;95%信頼区間,1.0~1.2)のリスクには,血清絨毛性ゴナドトロピン濃度の高値が関連していた.さらに,人種あるいは民族のある種の区分(黒人,フィリピン人または太平洋諸国人,人種や民族が不明,および中東系やアメリカ原住民などの“その他”)に属することのほうが,血清絨毛性ゴナドトロピン値よりも,有害転帰のリスクの優れた予測因子であった.
血清絨毛性ゴナドトロピン濃度の測定には,妊娠合併症および妊娠の転帰のリスクの予測としての臨床的な価値はあまり認められない.