December 30, 1999 Vol. 341 No. 27
肝臓移植後の死亡に対する移植センターの手技の施行件数の影響
The Effect of the Volume of Procedures at Transplantation Centers on Mortality after Liver Transplantation
E.B. EDWARDS, J.P. ROBERTS, M.A. MCBRIDE, J.A. SCHULAK, AND L.G. HUNSICKER
数多くの複雑な手術手技については,それらの手技の施行件数が少ないことと,その手技を受けた患者の死亡リスクの上昇とのあいだには関連性が認められている.
今回,われわれは,肝臓移植後の死亡のリスクに対する移植センターの移植手技の施行件数の影響について検討した.1987 年の 10 月 1 日~1994 年の 4 月 30 日までの期間に米国で行われたすべての肝臓移植を対象として解析を行った.1987~91 年までの解析結果は,1992~94 年までの解析結果と非常によく類似していたので,本研究では,より最近の期間に焦点を当てて検討した.
1992 年 1 月 1 日~1994 年 4 月 30 日までの期間に,年間 20 件以下の肝臓移植しか行っていなかった 47 センターを施行件数の少ないセンターとし(合計の移植件数,837 件),年間に 20 件を超える移植が行われていた 52 センターを施行件数の多いセンターとした(合計の移植件数,6,526 件).1 年死亡率は,施行件数の少ないセンターでは 25.9%であったのに対して,施行件数の多いセンターでは 20.0%であった.13 センターでは 1 年死亡率が 40%を超えていたが,これらのセンターはすべて,施行件数の少ないセンターであった.小児の移植プログラムのように,施行件数の多いセンターと提携関係を結んでいた施行件数の少ないセンターでは,施行件数の多いセンターと同様の結果が得られた.すなわち,未提携の施行件数の少ないセンターの 1 年死亡率は 28.3%であったのに対して,施行件数の多いセンターと,それらのセンターと提携していた施行件数の少ないセンターを合わせたグループの 1 年死亡率は 20.1%であった(p<0.001).
年間 20 件以下の移植しか行っていない米国の肝臓移植センターを一つのグループとしてみた場合には,これらのセンターの死亡率は,年間 20 件を超える移植を行っているセンターの死亡率よりも有意に高くなっている.したがって,移植センターの肝臓移植の転帰に関する情報は,国民が広く利用できるようにすべきである.