The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 29, 1999 Vol. 341 No. 5

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

冠動脈ステント植込みと血小板膜糖蛋白 IIb/IIIa 受容体遮断の相補的な臨床有益性
Complementary Clinical Benefits of Coronary-Artery Stenting and Blockade of Platelet Glycoprotein IIb/IIIa Receptors

A.M. LINCOFF AND OTHERS

背景

血小板膜糖蛋白 IIb/IIIa(GP IIb/IIIa)受容体を,そのモノクローナル抗体フラグメントのアブシキシマブ(abciximab)で阻害すると,経皮的冠動脈血行再建術に関連した急性の虚血性合併症の発症が減少する.また,一方では,冠動脈へのステント植込みは再狭窄の発生を減少させる.そこで,われわれは,長期の転帰向上に対するアブシキシマブとステント植込み併用の有効性を確認することを目的とした試験を実施した.

方 法

合計で 2,399 例の患者を,ステント植込みとプラセボ,ステント植込みとアブシキシマブ,またはバルーン血管形成術とアブシキシマブの治療に無作為に割り付けた.患者を 6 ヵ月間追跡した.

結 果

6 ヵ月の時点で,死亡または心筋梗塞の複合エンドポイントの発生率は,ステントとプラセボの治療を受けた群では 11.4%であったのに対して,ステントとアブシキシマブの治療を受けた群では 5.6%(ハザード比,0.47;95%信頼区間,0.33~0.68;p<0.001),バルーン血管形成術とアブシキシマブの治療に割り付けられた群では 7.8%(ハザード比,0.67;95%信頼区間,0.49~0.92;p=0.01)であった.血管形成術とアブシキシマブの治療に対するステント植込みとアブシキシマブの治療のハザード比は 0.70 であった(95%信頼区間,0.48~1.04;p = 0.07).標的血管に対する血行再建術の再施行率は,ステント+プラセボ群では 10.6%であったのに対して,ステント+アブシキシマブ群では 8.7%(ハザード比,0.82;95%信頼区間,0.59~1.13;p=0.22),血管形成術+アブシキシマブ群では 15.4%(ハザード比,1.49;95%信頼区間,1.13~1.97;p=0.005)であった.血管形成術とアブシキシマブの治療に対するステント植込みとアブシキシマブの治療のハザード比は 0.55(95%信頼区間,0.41~0.74;p<0.001)であった.糖尿病を有する患者では,標的血管に対する血行再建術の再施行率は,アブシキシマブとステント植込みの併用では 8.1%であり,ステント植込みとプラセボの併用(16.6%)よりも低く(p=0.02),血管形成術とアブシキシマブの併用(18.4%)よりも低かった(p=0.008).

結 論

冠動脈血行再建術では,アブシキシマブ投与とステント植込みを併用することで,相補的な長期の臨床的利益が得られる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 319 - 27. )