The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 8, 1999 Vol. 341 No. 2

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

慢性痔瘻の治療におけるボツリヌス毒素注射と局所ニトログリセリン軟膏の比較
A Comparison of Injections of Botulinum Toxin and Topical Nitroglycerin Ointment for the Treatment of Chronic Anal Fissure

G. BRISINDA AND OTHERS

背景

慢性痔瘻のもっとも一般的な治療となっている側部内括約筋切開術は,肛門括約筋に後遺症となる傷害を残す可能性があり,それによって便失禁が引き起されることがある.

方 法

われわれは,この便失禁のリスクを回避するための 2 種類の非外科的治療の比較を行った.症状のある慢性の後方痔瘻の成人 50 例を,総投与量 20 U のボツリヌス毒素の内肛門括約筋の前正中線両側部への注射,または 0.2%ニトログリセリン軟膏の 1 日 2 回,6 週間塗布のいずれかの治療に無作為に割り付けた.

結 果

痔瘻は,2 ヵ月後に,ボツリヌス毒素群では 25 例中の 24 例(96%)で,ニトログリセリン群では 25 例中の 15 例(60%)で治癒していた(p = 0.005).便失禁はどちらの群の患者にもまったく発現しなかった.ニトログリセリン群では,治療に関連した一過性の中等度から重度の頭痛が 5 例の患者に,治療中ときどき発現した.ボツリヌス毒素群には,有害事象が報告された患者は 1 例もいなかった.割り付けられた治療に反応しなかった 10 例の患者-ボツリヌス毒素群の 1 例とニトログリセリン群の 9 例-はもう一方の治療に切り替えた; 治療を切り替えたあとに,10 例すべての患者で痔瘻が治癒した.痔瘻の再発は,平均で約 15 ヵ月間の追跡調査期間中にまったく認められなかった.

結 論

慢性痔瘻の患者に対する局所のニトログリセリンあるいはボツリヌス毒素による治療は,手術に代わり得る治療として有効であるが,そのうちでもボツリヌス毒素がより有効な非外科的治療である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 65 - 9. )