March 26, 2009 Vol. 360 No. 13
前立腺癌スクリーニング後の死亡率に関する無作為化試験の結果
Mortality Results from a Randomized Prostate-Cancer Screening Trial
G.L. Andriole and Others
前立腺癌死亡率に対する,前立腺特異抗原(PSA)検査と直腸診によるスクリーニングの効果は明らかにされていない.これは,前立腺癌・肺癌・大腸癌・卵巣癌スクリーニング試験(Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian [PLCO] Cancer Screening Trial)の前立腺癌死亡率に関するはじめての報告である.
1993~2001 年のあいだに,米国の 10 ヵ所の試験実施施設で,76,693 人の男性を毎年スクリーニングを受ける群(38,343 例)と,通常の健康管理を受ける対照群(38,350 例)のいずれかに無作為に割り付けた.スクリーニング群に対しては,年 1 回の PSA 検査を 6 年間,年 1 回の直腸診を 4 年間にわたり実施した.被験者と医療提供者は,それらの結果を受けて追跡評価の種類を決定した.通常の健康管理には,一部の協会や組織が推奨するように,スクリーニングが含まれる場合もあった.癌と死亡の全発生数および死因を確認した.
スクリーニング群の PSA 検査受診率は 85%,直腸診受診率は 86%であった.対照群では,PSA 検査受診率は 1 年目の 40%から 6 年目には 52%に上昇し,直腸診受診率は 41~46%であった.7 年間の追跡後,前立腺癌の発生率は,スクリーニング群が 10,000 人年あたり 116(2,820 例),対照群が 10,000 人年あたり 95(2,322 例)であった(発生率比 1.22,95%信頼区間 [CI] 1.16~1.29).死亡率は,スクリーニング群が 10,000 人年あたり 2.0(50 例),対照群が 10,000 人年あたり 1.7(44 例)であった(発生率比 1.13,95% CI 0.75~1.70).10 年目の時点では 67%で完全なデータが得られ,7 年間の所見全体と一致していた.
7~10 年間にわたる追跡では,前立腺癌死亡率はきわめて低く,スクリーニング群と対照群のあいだで有意差はみられなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00002540)
本論文(10.1056/NEJMoa0810696)は,2009 年 3 月 18 日に NEJM.org で発表された.