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April 16, 2009 Vol. 360 No. 16

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胎児期に抗てんかん薬に曝露された 3 歳児の認知機能
Cognitive Function at 3 Years of Age after Fetal Exposure to Antiepileptic Drugs

K.J. Meador and Others

背景

動物では,胎児期に先天性奇形を生じさせる用量よりも低用量の抗てんかん薬に曝露された場合に,認知機能障害や行動障害が生じることがある.しかし,ヒトにおける抗てんかん薬の胎児期曝露が認知機能に及ぼす影響は,明らかにされていない.

方 法

米国および英国で,1999~2004 年に抗てんかん薬(カルバマゼピン,ラモトリギン,フェニトイン,バルプロ酸)の単剤療法を受けていたてんかんを有する妊娠女性を対象に,多施設共同前向き観察研究を行った.主要解析は,胎児期に各抗てんかん薬に曝露された児の 6 歳の時点での神経発達転帰の比較とした.この論文では,あらかじめ予定されていた中間解析である,3 歳児 309 例の認知機能の転帰に焦点を当てて報告する.

結 果

3 歳の時点で,胎児期にバルプロ酸に曝露された児の IQ スコアは,ほかの抗てんかん薬に曝露された児よりも有意に低かった.母親の IQ と年齢,抗てんかん薬の用量,出生時の在胎週数,および妊娠前の葉酸服用で補正すると,平均 IQ はラモトリギン曝露児で 101,フェニトイン曝露児で 99,カルバマゼピン曝露児で 98,バルプロ酸曝露児で 92 であった.平均して,バルプロ酸曝露児の IQ スコアは,ラモトリギン曝露児よりも 9 ポイント低く(95%信頼区間 [CI] 3.1~14.6,P=0.009),フェニトイン曝露児よりも 7 ポイント低く(95% CI 0.2~14.0,P=0.04),カルバマゼピン曝露児よりも 6 ポイント低かった(95% CI 0.6~12.0,P=0.04).妊娠中のバルプロ酸服用と児の IQ には,用量依存的な関連が認められた.児の IQ は,カルバマゼピン,ラモトリギン,フェニトイン曝露児では母親の IQ と有意な関連がみられたが,バルプロ酸曝露児では有意な関連はみられなかった.

結 論

胎児期におけるバルプロ酸曝露は,ほかの一般的な抗てんかん薬への曝露に比べて,3 歳の時点での認知機能障害のリスク増加と関連している.この結果は,妊娠の可能性がある女性に対しては,バルプロ酸を第一選択薬として使用すべきでないという勧告を支持するものである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 1597 - 605. )