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April 16, 2009 Vol. 360 No. 16

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心房細動の再発予防を目的としたバルサルタン
Valsartan for Prevention of Recurrent Atrial Fibrillation

The GISSI-AF Investigators

背景

心房細動は,もっとも高頻度にみられる不整脈であるが,現在の治療法ではこの病態を十分に管理することはできない.実験的研究では,アンジオテンシン II 受容体拮抗薬(ARB)は心房リモデリングに影響を及ぼす可能性があることが示唆され,臨床研究の中には,ARB が心房細動を予防する可能性があることを示唆するものもある.

方 法

ARB であるバルサルタンにより,心房細動の再発が減少するかどうかを検討するため大規模無作為化前向きプラセボ対照多施設共同試験を実施した.対象は,洞調律であるが,6 ヵ月以内に 2 回以上の心房細動の心電図記録がある患者,あるいは 2 週間以内に心房細動に対する除細動が成功した患者とし,さらに,基礎心血管疾患,糖尿病,左房拡大のいずれかを有する患者を適格とした.患者を,バルサルタン群とプラセボ群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,心房細動の初回再発までの期間と,心房細動の再発が 1 年間に 2 回以上みられた患者の割合の 2 項目とした.

結 果

計 1,442 例の患者が登録された.心房細動の再発は,バルサルタン群では 722 例中 371 例(51.4%)にみられたのに対し,プラセボ群では 720 例中 375 例(52.1%)にみられた(補正ハザード比 0.97,96%信頼区間 [CI] 0.83~1.14,P=0.73).2 回以上の心房細動は,バルサルタン群の 722 例中 194 例(26.9 %),プラセボ群の 720 例中 201 例(27.9 %)で認められた(補正オッズ比 0.89,99% CI 0.64~1.23,P=0.34).これらの結果は,アンジオテンシン変換酵素阻害薬の投与を受けなかった患者を含む,事前に定めた全患者サブグループについて同等であった.

結 論

バルサルタンによる治療を行っても,心房細動の再発率に低下はみられなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00376272)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 1606 - 17. )