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April 16, 2009 Vol. 360 No. 16

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黒人の血友病患者における第 VIII 因子インヒビター
Inhibitors of Factor VIII in Black Patients with Hemophilia

K.R. Viel and Others

背景

黒人の血友病 A(第 VIII 因子欠乏)患者では,補充療法として投与された第 VIII 因子蛋白に対してインヒビターが産生される確率が,白人患者の 2 倍である.野生型第 VIII 因子蛋白には H1 から H6 までの 6 種類が存在するが,臨床で使用されている組換え型第 VIII 因子製剤と一致するのは 2 種類(H1 と H2)のみである.H1 と H2 はあらゆる人種でみられるが,白人でこれまでに認められている第 VIII 因子蛋白は H1 と H2 のみである.H3,H4,H5 は黒人でのみ認められている.われわれは,黒人患者におけるインヒビターの発現率の高さには,不一致第 VIII 因子の投与が寄与しているという仮説を立てた.

方 法

血友病の原因変異とその背景にあるハプロタイプの同定を目的として,黒人の血友病 A 患者の第 VIII 因子遺伝子(F8)の配列決定を行った.患者のカルテから,過去に行われたベセスダ法の結果と,ベースラインにおける血友病の重症度,登録時の年齢,対象患者間の生物学的関連に関する情報を入手した.多変量ロジスティック回帰分析を用いて交絡の可能性があるこれらの因子について補正し,F8 のハプロタイプとインヒビターの発現との関連について検定を行った.

結 果

検討した黒人の血友病患者 78 例のうち,24%では背景となるハプロタイプは H3 または H4 であった.この 2 つのいずれかを有する患者では,H1 または H2 のハプロタイプを有する患者と血友病の原因変異スペクトルおよび重症度が同等であるにもかかわらず,インヒビターの保有率がより高かった(オッズ比 3.6,95%信頼区間 1.1~12.3,P=0.04).

結 論

これらの予備的結果から,不一致第 VIII 因子による補充療法が,抗第 VIII 因子アロ抗体発現の危険因子である可能性が示唆される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 1618 - 27. )