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May 28, 2009 Vol. 360 No. 22

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年齢,神経病理学,認知症
Age, Neuropathology, and Dementia

G.M. Savva and Others

背景

アルツハイマー病の研究は比較的若年の高齢者に焦点を当てているものが多いが,超高齢者を対象とした研究では,アルツハイマー病の病理学的特徴と認知症との関連の低下が報告されている.

方 法

住民ベースの医学調査委員会・認知機能と年齢研究(Medical Research Council Cognitive Function and Ageing Study)に提供された,死亡年齢が 69~103 歳の高齢者 456 例の脳を評価した.アルツハイマー病の病理学的特徴,脳萎縮,脳血管障害に関する評価項目を含む標準的な神経病理学的プロトコールを使用し,病変の程度が無~軽度か中等度~重度かにより,神経病理学的変数を 2 つに分類した.ロジスティック回帰を用いて,神経病理学的特徴と認知症の関連に年齢が及ぼす影響を推定した.

結 果

認知症を有する人と有しない人における,中等度~重度のアルツハイマー病型病理学的変化の有病率の差は,加齢に伴って縮小した.大脳新皮質の老人斑と認知症との関連は,75 歳で強く(オッズ比 8.63,95%信頼区間 [CI] 3.81~19.60),95 歳では低下し(オッズ比 2.48,95% CI 0.92~4.14),また,加齢に伴う同様の関連低下が,すべての脳領域でみられるアルツハイマー病関連のその他の病理学的変化と認知症のあいだでも観察された.一方,大脳新皮質の萎縮と認知症患者の年齢との関連は,75 歳(オッズ比 5.11,95% CI 1.94~13.46)と 95 歳(オッズ比 6.10,95% CI 2.80~13.28)の両方で維持され,認知症を有するコホートと有しないコホートが識別された.

結 論

アルツハイマー病の病理学的特徴と認知症との関連は,比較的若年の高齢者のほうが超高齢者より強かった.集団における認知症介入の効果の可能性を評価する際には,年齢を考慮する必要がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 2302 - 9. )