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March 5, 2009 Vol. 360 No. 10

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メポリズマブと難治性の好酸球性喘息の増悪
Mepolizumab and Exacerbations of Refractory Eosinophilic Asthma

P. Haldar and Others

背景

喘息の増悪(発作)は多数の症状・死亡と関連しており,対応にはさまざまな医療資源が用いられている.治療においては,発作の予防が依然として重要な目標である.好酸球性の気道炎症が,増悪のリスクと関連するというエビデンスが存在する.

方 法

難治性の好酸球性喘息で,高度の発作を繰り返す患者 61 例を対象に,無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を行った.患者を抗インターロイキン-5 モノクローナル抗体であるメポリズマブ(mepolizumab)を静注する群(29 例)と,プラセボを投与する群(32 例)に割り付け,月 1 回の投与を 1 年間行った.主要評価項目は,50 週の治療期間における患者あたりの高度の発作の回数とした.副次的評価項目は,喘息症状の変化,喘息 QOL 質問票(Asthma Quality of Life Questionnaire:AQLQ,スコアは 1~7 で,値が小さいほど重度の障害を示し,0.5 単位の変化は臨床的に重要とみなされる)のスコア,気管支拡張薬使用後の 1 秒量(FEV1),気道過敏性の亢進,血中および喀痰中の好酸球数などとした.

結 果

50 週の試験期間中,メポリズマブ群ではプラセボ群よりも高度の発作が有意に少なく(患者あたりの発作回数は平均で 2.0 回 対 3.4 回,相対リスク 0.57,95%信頼区間 [CI] 0.32~0.92,P=0.02),AQLQ のスコアが有意に改善した(ベースラインからの上昇は平均で 0.55 対 0.19,群間差は平均 0.35,95% CI 0.08~0.62,P=0.02).好酸球数は,メポリズマブ群のほうが血中(P<0.001),喀痰中(P=0.002)とも有意に少なかった.症状,気管支拡張薬使用後の FEV1,気道過敏性の亢進について両群間で有意差は認められなかった.報告された唯一の重篤な有害事象は,急性重症喘息による入院であった.

結 論

難治性の好酸球性喘息患者では,メポリズマブ療法によって発作が減少し,AQLQ スコアが改善する.今回の結果から,この患者集団における高度の喘息発作には,好酸球がエフェクター細胞として重要な役割を果たしていることが示唆される.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN75169762)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 973 - 84. )