喀痰中好酸球増加が認められるプレドニゾン依存性喘息に対するメポリズマブ
Mepolizumab for Prednisone-Dependent Asthma with Sputum Eosinophilia
P. Nair and Others
インターロイキン-5 の作用に起因すると考えられる好酸球性炎症は,一部の喘息の特徴である.しかし,喘息患者を対象としたこれまでの 3 件の臨床試験では,このサイトカインの阻害は,転帰の有意な改善にはつながらなかった.われわれは,プレドニゾン(prednisone)療法を継続しているにもかかわらず,喀痰中好酸球増加と気道症状を呈するまれな患者のサブグループを対象に,抗インターロイキン-5 モノクローナル抗体であるメポリズマブ(mepolizumab)によるプレドニゾン減量効果を検討した.副次的目的は,この抗体が喀痰中および血中の好酸球数,症状,気流制限に与える効果を検討することであった.
プレドニゾン療法を受けているにもかかわらず喀痰中好酸球増加と気道症状が持続する患者を対象に,無作為化二重盲検並行群間比較試験を行った.9 例をメポリズマブ静注群(750 mg/回を月 1 回,5 ヵ月間)に,11 例をプラセボ群に割り付けた.
プラセボ群の 10 例では 12 回の喘息発作を起こし,そのうち 9 例では発作時の喀痰中に好酸球増加を認めた.一方メポリズマブ群で発作を起こしたのは 1 例のみであったが,このエピソードは喀痰中好酸球増加と関連していなかった(P=0.002).プレドニゾン投与量は,メポリズマブ群では最大許容量から平均(±SD)83.8±33.4%減量することができたのに対し,プラセボ群では 47.7±40.5%であった(P=0.04).メポリズマブの投与は,喀痰中と血中の好酸球数の有意な減少と関連していた.好酸球数,喘息コントロール,1 秒量(FEV1)の改善は,最終投与から 8 週間維持された.重篤な有害事象は認められなかった.
プレドニゾン療法を受けているにもかかわらず喀痰中好酸球増加を認める喘息患者において,メポリズマブは血中・喀痰中の好酸球数を減少させ,プレドニゾンの減量を可能にした.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00292877)