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December 3, 2009 Vol. 361 No. 23

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HIV-1 の初回治療としてのアバカビル+ラミブジンとテノホビル+エムトリシタビンの比較
Abacavir-Lamivudine versus Tenofovir-Emtricitabine for Initial HIV-1 Therapy

P.E. Sax and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染者に対する初回治療には,複数のヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)に,非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬またはリトナビルでブーストした蛋白分解酵素阻害薬を固定用量で併用投与する方法が推奨されているが,どの NRTI の組合せが有効性と安全性において優れているかは明らかにされていない.

方 法

適格患者 1,858 例を対象とする無作為化盲検同等性試験において,HIV-1 感染に対する初回治療として,1 日 1 回,アバカビル+ラミブジンまたはテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(DF)+エムトリシタビンの組合せに,エファビレンツまたはリトナビルでブーストしたアタザナビルを併用する 4 通りの抗レトロウイルス薬レジメンを比較した.主要有効性エンドポイントは,無作為化からウイルス学的失敗(HIV-1 RNA 量が 16 週以降・24 週より前に 1,000 コピー/mL 以上であるか,24 週以降に 200 コピー/mL 以上であることと定義)までの時間とした.

結 果

予定されていた独立データ・安全性モニタリング委員会による中間評価では,スクリーニング時の HIV-1 RNA 量が 100,000 コピー/mL 以上であった患者では,NRTI の組合せによってウイルス学的有効性に有意差が示された.中央値 60 週の追跡調査で,スクリーニング時の HIV-1 RNA 量が 100,000 コピー/mL 以上であった 797 例では,ウイルス学的失敗までの時間はアバカビル+ラミブジン群のほうがテノホビル DF+エムトリシタビン群より有意に短く(ハザード比 2.33,95%信頼区間 1.46~3.72,P<0.001),ウイルス学的失敗はアバカビル+ラミブジン群 57 例(14%),テノホビル DF+エムトリシタビン群 26 例(7%)にみられた.最初の有害事象発現までの時間も,アバカビル+ラミブジン群のほうが短かった(P<0.001).48 週時点でのベースラインからの CD4 細胞数の変化には両群間で有意差はなかった.

結 論

スクリーニング時の HIV-1 RNA 量が 100,000 コピー/mL 以上であった患者では,アバカビル+ラミブジンに割り付けられた患者のほうが,テノホビル DF+エムトリシタビンに割り付けられた患者よりも,ウイルス学的失敗までの時間も最初の有害事象発現までの時間も有意に短かった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00118898)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 2230 - 40. )