August 20, 2009 Vol. 361 No. 8
骨粗鬆症の閉経後女性における骨折予防のためのデノスマブ
Denosumab for Prevention of Fractures in Postmenopausal Women with Osteoporosis
S.R. Cummings and Others
破骨細胞分化因子(receptor activator of nuclear factor-κB ligand:RANKL)に対する完全ヒトモノクローナル抗体であるデノスマブ(denosumab)は,RANKL と RANK の結合を阻害することで,破骨細胞の発生と活性化を阻害し,骨吸収を抑制し,骨密度を増加させる.その独自の作用から,骨粗鬆症の治療に有用である可能性がある.
年齢 60~90 歳で,腰椎または股関節の骨密度 T スコアが<-2.5(ただし≦-4.0 の場合は除外)の女性 7,868 例を登録した.被験者を,デノスマブ 60 mg 群とプラセボ群に無作為に割り付け,皮下投与を 6 ヵ月ごとに 36 ヵ月間行った.主要エンドポイントは新規椎体骨折とした.副次的エンドポイントは,椎体以外の骨折と大腿骨頸部骨折とした.
プラセボ群と比較して,デノスマブ群では X 線上で確認される新規椎体骨折のリスクが減少し,累積発生率はデノスマブ群 2.3%,プラセボ群 7.2%(リスク比 0.32,95%信頼区間 [CI] 0.26~0.41,P<0.001)で,相対リスク減少は 68%であった.デノスマブ群では大腿骨頸部骨折のリスクも減少し,累積発生率はデノスマブ群 0.7%,プラセボ群 1.2%(ハザード比 0.60,95% CI 0.37~0.97,P=0.04)で,相対リスク減少は 40%であった.また,デノスマブ群では椎体以外の骨折リスクも減少し,累積発生率はデノスマブ群 6.5%,プラセボ群 8.0%(ハザード比 0.80,95% CI 0.67~0.95,P=0.01)で,相対リスク減少は 20%であった.癌,感染症,心血管疾患,骨癒合の遷延,低カルシウム血症のリスク増加は認められず,また,顎骨壊死を起こした例やデノスマブの皮下投与に対する有害反応も認められなかった.
年 2 回のデノスマブ皮下投与を 36 ヵ月間行うことで,骨粗鬆症の女性における椎体骨折,椎体以外の骨折,大腿骨頸部骨折のリスクが減少した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00089791)
本論文(10.1056/NEJMoa0809493)は,2009 年 8 月 11 日に NEJM.org で発表された.