The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

April 18, 2019 Vol. 380 No. 16

X 連鎖重症複合免疫不全症の乳児に対する低用量ブスルファンを併用するレンチウイルス遺伝子治療
Lentiviral Gene Therapy Combined with Low-Dose Busulfan in Infants with SCID-X1

E. Mamcarz and Others

背景

X 連鎖重症複合免疫不全症(SCID-X1)に対する同種造血幹細胞移植は,適合する同胞ドナーがいない場合,大量化学療法を行わなければ,T 細胞・B 細胞・ナチュラルキラー(NK)細胞に関連する免疫の再構築が失敗することが多い.先行研究では,γ-レトロウイルスベクターを用いた自家遺伝子治療を行っても B 細胞・NK 細胞免疫の再構築に失敗し,ベクター関連の白血病が合併した.

方 法

2 施設共同第 1・2 相安全性・有効性試験で,新たに SCID-X1 と診断された乳児 8 例を対象に,低曝露量の,標的を絞ったブスルファンによる前処置後の骨髄幹細胞に IL2RG の相補的 DNA を導入するためのレンチウイルスベクターを検討した.

結 果

SCID-X1 乳児 8 例を中央値で 16.4 ヵ月間追跡した.骨髄採取,ブスルファンによる前処置,細胞注入に,予期せぬ副作用はみられなかった.7 例では,注入から 3~4 ヵ月後までに CD3 陽性 T 細胞,CD4 陽性 T 細胞,ナイーブ CD4 陽性 T 細胞,NK 細胞の数が正常化し,T 細胞,B 細胞,NK 細胞,骨髄細胞,骨髄前駆細胞にはベクターによるマーキングも認められた.8 番目の乳児では,はじめは T 細胞数が不十分であったが,遺伝子を修正した細胞をブスルファンによる前処置なしで追加注入したところ,T 細胞が発生した.既存の感染は全例で消失し,全例が正常に発育を続けた.8 例中 7 例で IgM 値が正常化し,うち 4 例は静脈内免疫グロブリン補充療法を中止した.この 4 例中 3 例にワクチンに対する反応が認められた.7 例でベクター挿入部位の解析を行ったところ,全例でポリクローナルなパターンを示し,クローン優位性は認められなかった.

結 論

新たに SCID-X1 と診断された乳児において,低曝露量の,標的を絞ったブスルファンによる前処置を併用するレンチウイルスベクターを用いた遺伝子治療は,追跡期間中央値 16 ヵ月のあいだに,発現した急性毒性は低グレードであり,形質導入した細胞の多分化能を維持した生着,機能性 T 細胞と B 細胞の再構築,NK 細胞数の正常化をもたらした.(米国・レバノン・シリア共同慈善基金ほかから研究助成を受けた.LVXSCID-ND 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01512888)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 1525 - 34. )