アフリカの小児死亡率を低下させるためのアジスロマイシンのより長期の評価
Longer-Term Assessment of Azithromycin for Reducing Childhood Mortality in Africa
J.D. Keenan and Others
MORDOR I 試験(Macrolides Oraux pour Réduire les Décès avec un Oeil sur la Résistance)では,ニジェールでアジスロマイシンの集団投与を年 2 回 2 年間行うことで,新生児期を過ぎた乳幼児の死亡率がプラセボ投与と比較して 18%低くなったことが示された.この利益は投与するたびに増大するのか,抗菌薬耐性によって減少するのかは明らかではなかった.
MORDOR I 試験では,参加国の 1 つのニジェールで,594 のコミュニティをアジスロマイシン群とプラセボ群に無作為に割り付け,生後 1~59 ヵ月の乳幼児に年 2 回,全 4 回配布した.MORDOR II 試験では,これらのすべてのコミュニティに,アジスロマイシンを非盲検下で 2 回追加配布した.全死因死亡の評価は,参加者の当初の割付けを知らされていない人口調査員が年 2 回行った.
MORDOR II 試験において,アジスロマイシンの投与率の平均(±SD)は,年 2 回のアジスロマイシン投与をはじめて受けた(すなわち,MORDOR I 試験の 2 年間はプラセボ投与)コミュニティで 91.3±7.2%,アジスロマイシン投与が 3 年目(すなわち,MORDOR I 試験の 2 年間はアジスロマイシン投与)のコミュニティで 92.0±6.6%であった.MORDOR II 試験における死亡率は,MORDOR I 試験で 1 年目にプラセボ投与を受けていたコミュニティで 1,000 人年あたり 24.0(95%信頼区間 [CI] 22.1~26.3),MORDOR I 試験で 1 年目にアジスロマイシン投与を受けていたコミュニティで 1,000 人年あたり 23.3(95% CI 21.4~25.5)であり,群間で有意差は認められなかった(P=0.55).MORDOR I 試験でプラセボ投与を受けていたコミュニティでは,アジスロマイシン投与を受けると死亡率が 13.3%(95% CI 5.8~20.2)低下した(P=0.007).MORDOR I 試験でアジスロマイシン投与を受け,さらに 1 年間継続したコミュニティでは,3 年目と最初の 2 年間とで死亡率の差は有意ではなかった(-3.6%,95% CI -12.3~4.5,P=0.50).
ニジェールの小児死亡率に対するアジスロマイシン集団投与の効果が,投与 3 年目に減少したことを示すエビデンスは認められなかった.当初プラセボ投与を受けていたコミュニティがアジスロマイシン投与を受けると,小児死亡率は低下した.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02047981)