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January 3, 2019 Vol. 380 No. 1

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ビタミン D サプリメントと癌および心血管疾患の予防
Vitamin D Supplements and Prevention of Cancer and Cardiovascular Disease

J.E. Manson and Others

背景

ビタミン D のサプリメント摂取で癌や心血管疾患のリスクが低下するかどうかは明らかではなく,無作為化試験のデータは限られている.

方 法

米国の 50 歳以上の男性と 55 歳以上の女性を対象に,癌と心血管疾患の予防を目的としてビタミン D3(コレカルシフェロール)2,000 IU/日,および海洋生物由来の n–3(ω3 とも呼ばれる)脂肪酸 1 g/日を評価する 2×2 要因デザインの全国的な無作為化プラセボ対照試験を行った.主要エンドポイントは,すべての浸潤癌と,主要心血管イベント(心筋梗塞,脳卒中,心血管死亡の複合)とした.副次的エンドポイントは,部位別癌,癌死,その他の心血管イベントなどとした.本稿では,ビタミン D とプラセボを比較した結果を報告する.

結 果

黒人 5,106 人を含む計 25,871 人の参加者が無作為化された.ビタミン D のサプリメント摂取は,主要エンドポイントのいずれのリスクの低下にも関連しなかった.追跡期間中央値 5.3 年間に,1,617 人で癌が診断された(ビタミン D 群の 793 人とプラセボ群の 824 人,ハザード比 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.88~1.06,P=0.47).主要心血管イベントは 805 人に発生した(ビタミン D 群の 396 人とプラセボ群の 409 人,ハザード比 0.97,95% CI 0.85~1.12,P=0.69).副次的エンドポイントの解析では,ハザード比は,癌死(341 例)が 0.83(95% CI 0.67~1.02), 乳癌が 1.02(95% CI 0.79~1.31),前立腺癌が 0.88(95% CI 0.72~1.07),大腸癌が 1.09(95% CI 0.73~1.62),主要心血管イベント+冠血行再建の拡大複合エンドポイントが 0.96(95% CI 0.86~1.08),心筋梗塞が 0.96(95% CI 0.78~1.19),脳卒中が 0.95(95% CI 0.76~1.20),心血管死亡が 1.11(95% CI 0.88~1.40)であった.全死因死亡(978 例)の解析では,ハザード比は 0.99(95% CI 0.87~1.12)であった.高カルシウム血症やその他の有害事象の超過リスクは認められなかった.

結 論

ビタミン D のサプリメント摂取により,プラセボと比較して,浸潤癌や心血管イベントの発生率は低くならなかった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.VITAL 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01169259)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 33 - 44. )