September 12, 2019 Vol. 381 No. 11
長期透析患者の貧血に対するロキサデュスタット投与
Roxadustat Treatment for Anemia in Patients Undergoing Long-Term Dialysis
N. Chen and Others
ロキサデュスタット(roxadustat)は,赤血球生成を刺激し鉄代謝を制御する,経口低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬である.透析患者の貧血治療におけるロキサデュスタットの,標準治療(エポエチンアルファ)と比較した有効性と安全性についてはさらなるデータが必要である.
中国で行われた試験で,透析を受けており,エポエチンアルファによる赤血球造血刺激因子製剤療法を 6 週間以上受けていた患者を,ロキサデュスタットを週 3 回 26 週間投与する群とエポエチンアルファを週 3 回 26 週間投与する群に(2:1 の割合で)無作為に割り付けた.静注鉄剤は,レスキュー投与を除き中止した.主要評価項目は,23~27 週目の平均ヘモグロビン値のベースラインからの変化量の平均とした.ロキサデュスタット群とエポエチンアルファ群のヘモグロビン値の差の両側 95%信頼区間の下限が -1.0 g/dL 以上であれば,ロキサデュスタットの非劣性が示されることとした.各群の患者は,ヘモグロビン値が 10.0~12.0 g/dL となるように用量が調整された.安全性は,有害事象と臨床検査値を解析して評価した.
305 例が無作為化され(ロキサデュスタット群 204 例,エポエチンアルファ群 101 例),256 例(それぞれ 162 例,94 例)が 26 週間の投与期間を完了した.ベースラインのヘモグロビン値の平均は 10.4 g/dL であった.ベースラインから 23~27 週目までのヘモグロビン値の変化量の平均(±SD)は,ロキサデュスタット(0.7±1.1 g/dL)がエポエチンアルファ(0.5±1.0 g/dL)よりも数値的に大きくなり,ロキサデュスタットは統計的に非劣性を示した(差 0.2±1.2 g/dL,95%信頼区間 [CI] -0.02~0.5).エポエチンアルファと比較して,ロキサデュスタットはトランスフェリンを増加させ(差 0.43 g/L,95% CI 0.32~0.53),血清鉄濃度を維持し(差 25μg/dL,95% CI 17~33),トランスフェリン飽和度の低下を抑制した(差 4.2 パーセントポイント,95% CI 1.5~6.9).27 週の時点で,総コレステロールの低下量は,ロキサデュスタットのほうがエポエチンアルファよりも大きく(差-22 mg/dL,95% CI -29~-16),低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールの低下量も同様の結果であった(差 -18 mg/dL,95% CI -23~-13).ロキサデュスタット群でヘプシジンの平均低下量は 30.2 ng/mL(95% CI -64.8~-13.6)であったのに対し,エポエチンアルファ群では 2.3 ng/mL(95% CI -51.6~6.2)であった.高カリウム血症と上気道感染の頻度はロキサデュスタット群のほうが高く,血圧上昇の頻度はエポエチンアルファ群のほうが高かった.
透析を受けている中国人患者の貧血治療として,ロキサデュスタットの経口投与は,エポエチンアルファの静脈内投与に対し非劣性を示した.(フィブロジェン社,フィブロジェン [中国] 医療技術開発社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02652806)