October 17, 2019 Vol. 381 No. 16
急性冠症候群患者におけるチカグレロルとプラスグレルとの比較
Ticagrelor or Prasugrel in Patients with Acute Coronary Syndromes
S. Schüpke and Others
侵襲的評価が予定されている急性冠症候群患者において,チカグレロルのプラスグレルと比較した相対的な価値は明らかにされていない.
多施設共同無作為化非盲検試験で,急性冠症候群で受診し侵襲的評価が予定されている患者を,チカグレロルの投与を受ける群とプラスグレルの投与を受ける群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは 1 年の時点での死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合とした.主な副次的エンドポイント(安全性エンドポイント)は出血とした.
4,018 例が無作為化された.主要エンドポイントのイベントは,チカグレロル群 2,012 例中 184 例(9.3%),プラスグレル群 2,006 例中 137 例(6.9%)に発生した(ハザード比 1.36,95%信頼区間 [CI] 1.09~1.70,P=0.006).チカグレロル群とプラスグレル群における主要エンドポイントの各項目の発生率は,死亡は 4.5%と 3.7%,心筋梗塞は 4.8%と 3.0%,脳卒中は 1.1%と 1.0%であった.definite または probable のステント血栓症は,チカグレロル群の 1.3%とプラスグレル群の 1.0%に発生し,definite ステント血栓症は,それぞれ 1.1%と 0.6%に発生した.大出血(出血に関する学術研究コンソーシアム [BARC] の定義による)は,チカグレロル群の 5.4%とプラスグレル群の 4.8%に認められた(ハザード比 1.12,95% CI 0.83~1.51,P=0.46).
ST 上昇の有無を問わず急性冠症候群で受診した患者のうち,プラスグレルの投与を受けた患者ではチカグレロルの投与を受けた患者よりも死亡,心筋梗塞,脳卒中の発生率が有意に低く,大出血の発生率に群間で有意差は認められなかった.(ドイツ心臓血管研究センター,ドイツ心臓センターミュンヘンから研究助成を受けた.ISAR-REACT 5 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01944800)