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November 28, 2019 Vol. 381 No. 22

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てんかん重積状態に対する抗痙攣薬 3 剤の無作為化試験
Randomized Trial of Three Anticonvulsant Medications for Status Epilepticus

J. Kapur and Others

背景

ベンゾジアゼピン系薬治療抵抗性のてんかん重積状態の患者に対する薬剤の選択について,これまで十分な研究は行われていない.

方 法

適応的デザインの無作為化盲検試験で,ベンゾジアゼピン系薬治療抵抗性の痙攣性てんかん重積状態の小児と成人を対象に,静注用の抗痙攣薬であるレベチラセタム,ホスフェニトイン,バルプロ酸の 3 剤の有効性と安全性を比較した.主要転帰は,抗痙攣薬を追加することなく,薬剤の注入開始から 60 分後までに臨床的に明らかな発作が停止し,意識レベルが改善することとした.各薬剤について有効性がもっとも高い,またはもっとも低い事後確率を算出した.安全性転帰は,生命を脅かす血圧低下または不整脈,気管内挿管,発作の再発,死亡などとした.

結 果

384 例が登録され,レベチラセタム群(145 例),ホスフェニトイン群(118 例),バルプロ酸群(121 例)に無作為に割り付けられた.2 回目のてんかん重積発作を起こした患者を再登録したため,無作為化された患者の総数には 16 例が追加される.1 つの薬剤の優劣を見出すことの無益性について事前に規定した中止規則に従い,計画されていた中間解析の結果,試験は中止された.登録された患者のうち,10%は心因性発作であったと判断された.主要転帰である 60 分の時点でのてんかん重積状態の消失と意識レベルの改善は,レベチラセタム群の 68 例(47%,95%信用区間 39~55),ホスフェニトイン群の 53 例(45%,95%信用区間 36~54),バルプロ酸群の 56 例(46%,95%信用区間 38~55)で認められた.各薬剤で有効性がもっとも高い事後確率はそれぞれ 0.41,0.24,0.35 であった.数値上は,血圧低下と気管内挿管はホスフェニトイン群で他の 2 群よりも多く,死亡はレベチラセタム群で他の 2 群よりも多かったが,これらの差は有意ではなかった.

結 論

ベンゾジアゼピン系薬抵抗性の痙攣性てんかん重積状態では,抗痙攣薬のレベチラセタム,ホスフェニトイン,バルプロ酸のそれぞれにより,約半数の患者で,60 分後までに発作が停止し意識状態が改善した.3 剤は同程度の有害事象の発現を伴った.(米国国立神経疾患・脳卒中研究所から研究助成を受けた.ESETT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01960075)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 2103 - 13. )