March 30, 2023 Vol. 388 No. 13
包括的高度慢性下肢虚血に対する経カテーテル的深部静脈動脈化
Transcatheter Arterialization of Deep Veins in Chronic Limb-Threatening Ischemia
M.H. Shishehbor and Others
包括的高度慢性下肢虚血患者の約 20%には血行再建術の選択肢がなく,足関節より近位での切断にいたる.経カテーテル的深部静脈動脈化は,切断を回避するために,経皮的に動脈と静脈を交通させ,静脈系を利用して虚血足に酸素化した血液を供給するアプローチである.
難治性潰瘍を有し,外科的血行再建術または血管内血行再建術の治療選択肢のない患者を対象として,経カテーテル的深部静脈動脈化の効果を評価するための前向き単群多施設共同試験を行った.複合主要エンドポイントは 6 ヵ月の時点での切断回避生存率(足関節より近位での切断または全死因死亡がないことと定義)とし,達成目標の 54%と比較した.副次的エンドポイントは,下肢救済,創治癒,手技の技術的成功などとした.
包括的高度慢性下肢虚血患者 105 例が組み入れられ,年齢中央値は 70 歳(四分位範囲 38~89)であった.このうち 33 例(31.4%)は女性で,45 例(42.8%)は黒人,ヒスパニック系,ラテン系のいずれかであった.経カテーテル的深部静脈動脈化は 104 例(99.0%)で成功した.6 ヵ月の時点で,切断回避生存率は 66.1%であった.ベイズ解析によると,6 ヵ月の時点での切断回避生存率が達成目標の 54%を上回る事後確率は 0.993 であり,事前に規定した閾値の 0.977 を上回った.下肢救済(足関節より近位での切断の回避)は 67 例(Kaplan–Meier 解析で 76.0%)で達成された.創は 63 例中 16 例(25%)で完全に治癒し,63 例中 32 例(51%)で治癒過程にあった.予期せぬデバイス関連有害事象は報告されなかった.
包括的高度慢性下肢虚血を有し,従来の外科的血行再建術または血管内血行再建術の治療選択肢のない患者において,経カテーテル的深部静脈動脈化は安全であり,成功する可能性があることが示された.(リムフロー社から研究助成を受けた.PROMISE II 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03970538)