The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 13, 2023 Vol. 388 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

骨髄性プロトポルフィリン症に対するデルシメラゴン
Dersimelagon in Erythropoietic Protoporphyrias

M. Balwani and Others

背景

骨髄性プロトポルフィリン症と X 連鎖プロトポルフィリン症は,血中の無金属プロトポルフィリン濃度の上昇と光毒性を引き起こす,ヘム生合成の先天異常である.両疾患とも,可視光曝露後の,激しい痛みを伴う光毒性発作を特徴とする.デルシメラゴン(dersimelagon)は,皮膚のユーメラニン量を増加させる,経口投与可能な新規の選択的メラノコルチン 1 受容体作動薬である.

方 法

骨髄性プロトポルフィリン症または X 連鎖プロトポルフィリン症の患者を対象として,日光曝露に関連する症状が発現するまでの時間と重症度に関するデルシメラゴンの有効性と,安全性を検討するための無作為化プラセボ対照第 2 相試験を行った.18~75 歳の患者を,デルシメラゴン 100 mg を 1 日 1 回,16 週間投与する群,300 mg を 1 日 1 回,16 週間投与する群,プラセボを投与する群に 1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,日光曝露に関連する前駆症状が最初に発現するまでの時間の,ベースラインから 16 週目までの変化量とした.患者は,毎日の日光曝露と症状のデータを電子日誌に記録した.QOL と安全性も評価した.

結 果

無作為化された 102 例(骨髄性プロトポルフィリン症 93 例,X 連鎖プロトポルフィリン症 9 例)のうち,90%が治療期間を完了した.日光曝露に関連する前駆症状が最初に発現するまでの 1 日あたりの時間の平均は,デルシメラゴン群で有意に延長し,ベースラインから 16 週目までの変化量のプラセボ群との最小二乗平均差は,デルシメラゴン 100 mg 群で 53.8 分(P=0.008),300 mg 群で 62.5 分であった(P=0.003).この結果はまた,デルシメラゴンの投与を受けた患者では,プラセボの投与を受けた患者よりも QOL が改善したことを示唆している.治療中に発現または悪化した有害事象でとくに頻度が高かったのは,悪心,雀卵斑,頭痛,皮膚色素沈着であった.

結 論

骨髄性プロトポルフィリン症または X 連鎖プロトポルフィリン症の患者において,デルシメラゴンは,評価したいずれの用量でも,症状を伴わない日光曝露時間を有意に延長させた.(田辺三菱製薬社から研究助成を受けた.Endeavor 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03520036)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1376 - 85. )