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April 13, 2023 Vol. 388 No. 15

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輸血におけるドナーの性別がレシピエントの死亡率に及ぼす影響
Effect of Donor Sex on Recipient Mortality in Transfusion

M. Chassé and Others

背景

赤血球ドナーの性別と輸血レシピエントの死亡率との関連に関して,観察研究からのエビデンスは相反している.輸血の実施と方針にとって,情報源となるエビデンスは限られている.

方 法

多施設共同二重盲検試験で,赤血球輸血を受ける患者を,男性ドナーの赤血球を投与する群と,女性ドナーの赤血球を投与する群に無作為に割り付けた.患者の試験群の割付けは,その後の入院診療と外来診療の期間を含め,試験期間を通して維持した.無作為化は,血液供給業者による過去の配分とマッチさせるため,60:40 の割合(男性ドナー群:女性ドナー群)で行った.主要転帰は生存とし,男性ドナー群を参照群とした.

結 果

8,719 例が輸血を受ける前に無作為化され,5,190 例が男性ドナー群,3,529 例が女性ドナー群に割り付けられた.ベースラインの時点で,組み入れられた患者の平均(±SD)年齢は 66.8±16.4 歳であった.初回輸血時の状況は,6,969 例(79.9%)が入院で,このうち 2,942 例(42.2%)が外科に入院していた.ベースラインの輸血前ヘモグロビン値は 79.5±19.7 g/L で,女性ドナー群の患者は平均 5.4±10.5 単位の赤血球の投与を受け,男性ドナー群の患者は平均 5.1±8.9 単位の投与を受けた(差 0.3 単位,95%信頼区間 [CI] -0.1~0.7).試験期間中,女性ドナー群の 1,141 例と男性ドナー群の 1,712 例が死亡した.全生存の主要解析では,死亡の補正ハザード比は 0.98(95% CI 0.91~1.06)であった.

結 論

この試験では,女性ドナーの赤血球を用いる輸血戦略と男性ドナーの赤血球を用いる戦略とで,生存に有意差は認められなかった.(カナダ保健研究機構から研究助成を受けた.iTADS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03344887)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1386 - 95. )