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May 18, 2023 Vol. 388 No. 20

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ハンセン病患者の家庭内接触者に対するリファペンチンの単回投与
Single-Dose Rifapentine in Household Contacts of Patients with Leprosy

L. Wang and Others

背景

ハンセン病患者の濃厚接触者に対するリファンピン(rifampin)の単回投与には,ハンセン病に対する防御効果があることが先行試験から示唆されている.リファペンチン(rifapentine)は,ハンセン病のモデルマウスにおいて,らい菌(Mycobacterium leprae)に対する殺菌活性がリファンピンよりも高いことが示されたが,ハンセン病予防における有効性に関するデータはない.

方 法

ハンセン病患者の家庭内接触者において,リファペンチンの単回投与がハンセン病予防に有効であるかどうかを検討するためのクラスター無作為化比較試験を行った.クラスター(中国南西部の県または区)を,リファペンチンを単回投与する群,リファンピンを単回投与する群,対照群(介入なし)に割り付けた.主要転帰は,家庭内接触者におけるハンセン病の 4 年累積発生率とした.

結 果

適格な家庭内接触者 7,450 例が含まれる 207 のクラスターが無作為化され,68 クラスター(家庭内接触者 2,331 例)がリファペンチン群,71 クラスター(2,760 例)がリファンピン群,68 クラスター(2,359 例)が対照群に割り付けられた.4 年間の追跡期間中にハンセン病の新規症例は 24 例発生し,累積発生率はリファペンチン群(2 例)で 0.09%(95%信頼区間 [CI] 0.02~0.34),リファンピン群(9 例)で 0.33%(95% CI 0.17~0.63),対照群(13 例)で 0.55%(95% CI 0.32~0.95)であった.intention-to-treat 解析では,リファペンチン群の累積発生率は対照群よりも 84%低かったが(累積発生率比 0.16,多重性を補正後の 95% CI 0.03~0.87,P=0.02),リファンピン群と対照群とのあいだには有意差は認められなかった(累積発生率比 0.59,多重性を補正後の 95% CI 0.22~1.57,P=0.23).per-protocol 解析では,累積発生率はリファペンチン群 0.05%,リファンピン群 0.19%,対照群 0.63%であった.重度の有害事象は観察されなかった.

結 論

家庭内接触者におけるハンセン病の 4 年累積発生率は,リファペンチンの単回投与を行った場合のほうが,介入を行わなかった場合よりも低かった.(中国衛生部,中国医学科学院から研究助成を受けた.Chinese Clinical Trial Registry 番号 ChiCTRIPR-15007075)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1843 - 52. )