関節リウマチの成人に対するペレソリマブの第 2 相試験
A Phase 2 Trial of Peresolimab for Adults with Rheumatoid Arthritis
J. Tuttle and Others
ペレソリマブ(peresolimab)は,内因性のプログラム細胞死蛋白 1(PD-1)阻害経路を刺激するようデザインされた,ヒト化 IgG1 モノクローナル抗体である.この経路の刺激は,自己免疫疾患または自己炎症性疾患の患者の治療において,新たなアプローチになると考えられる.
第 2a 相二重盲検無作為化プラセボ対照試験で,成人の中等症~重症の関節リウマチ患者で,従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD),生物学的 DMARD,分子標的型合成 DMARD のいずれかによる治療では反応が不十分であったか,反応が消失したか,許容できない副作用が発現した患者を,ペレソリマブ 700 mg を投与する群,300 mg を投与する群,プラセボを投与する群に 2:1:1 の割合で割り付け,4 週に 1 回静脈内投与した.主要転帰は C 反応性蛋白値に基づく 28 関節疾患活動性スコア(DAS28-CRP)の,ベースラインから 12 週目までの変化量とした.DAS28-CRP の範囲は 0~9.4 で,数値が高いほど疾患が重症であることを示す.主たる比較は 700 mg 群とプラセボ群とで行った.副次的転帰は,12 週の時点で,米国リウマチ学会の基準で 20%改善(ACR20),50%改善(ACR50),70%改善(ACR70)(圧痛関節数・腫脹関節数と,重要な 5 項目のうち 3 項目以上が,それぞれベースラインから 20%,50%,70%以上改善することと定義)を達成した患者の割合などとした.
12 週の時点で,DAS28-CRP のベースラインからの変化量は,ペレソリマブ 700 mg 群がプラセボ群よりも有意に大きかった(最小二乗平均の変化 [±SE] -2.09±0.18 対 -0.99±0.26,変化の差 -1.09 [95%信頼区間 -1.73~-0.46],P<0.001).副次的転帰の解析結果は,ACR20 の達成に関しては 700 mg 群がプラセボ群よりも良好であったが,ACR50,ACR70 の達成に関しては良好ではなかった.有害事象はペレソリマブ群とプラセボ群で同様であった.
関節リウマチ患者を対象とした第 2a 相試験で,ペレソリマブの有効性が示された.これらの結果は,PD-1 受容体の刺激が,関節リウマチの治療に有効である可能性があるというエビデンスを提供している.(イーライリリー社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04634253)