新生児オピオイド離脱症候群に対する摂食・睡眠・あやしによるアプローチと通常ケアとの比較
Eat, Sleep, Console Approach or Usual Care for Neonatal Opioid Withdrawal
L.W. Young and Others
臨床医は従来,新生児オピオイド離脱症状の重症度評価にフィネガン新生児禁断症状スコアリングツールを用いてきたが,機能に基づくより新しいアプローチ,すなわち患児の摂食する・睡眠する・あやされる能力(ESC)に基づいてケアを行うアプローチが用いられることが増えてきている.この新しいアプローチがさまざまな施設で広く用いられるようになった場合に,乳児が医学的に退院可能な状態になるまでの期間を安全に短縮させることができるかどうかは明らかでない.
米国の 26 ヵ所の病院で行われたクラスター無作為化比較試験で,在胎 36 週以上で出生した新生児オピオイド離脱症候群の乳児を組み入れた.各病院は,無作為に割り付けられた時点で,フィネガンのツールを用いる通常ケアから,ESC アプローチへの移行期間に入った.3 ヵ月の移行期間中,各病院のスタッフは,新しいアプローチを使用する訓練を受けた.主要転帰は,出生から医学的に退院可能な状態(この試験で定義したもの)になるまでの期間とした.安全性転帰は,院内安全性,予定外の受診,非偶発的外傷または死亡の複合とし,生後 3 ヵ月まで評価した.
1,305 例が組み入れられた.医学的に退院可能な状態の定義を満たした 837 例を対象とした intention-to-treat 解析では,出生から退院可能な状態になるまでの日数は,ESC 群で 8.2 日,通常ケア群で 14.9 日であり(補正後の差の平均 6.7 日,95%信頼区間 [CI] 4.7~8.8),率比は 0.55(95% CI 0.46~0.65)であった(P<0.001).有害転帰の発生率は 2 群で同程度であった.
新生児オピオイド離脱症候群の乳児に ESC ケアアプローチを用いた場合,通常ケアと比較して,医学的に退院可能な状態になるまでの日数が有意に減少し,特定の有害転帰が増加することはなかった.(米国国立衛生研究所 依存症克服長期支援 [HEAL] イニシアチブから研究助成を受けた.ESC-NOW 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04057820)