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June 22, 2023 Vol. 388 No. 25

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シクロホスファミドをベースとする移植後の移植片対宿主病の予防法
Post-Transplantation Cyclophosphamide-Based Graft-versus-Host Disease Prophylaxis

J. Bolaños-Meade and Others

背景

同種造血幹細胞移植(HSCT)を受ける患者では,カルシニューリン阻害薬とメトトレキサートの併用が,移植片対宿主病(GVHD)の標準的な予防法となって久しい.第 2 相試験で,シクロホスファミド,タクロリムス,ミコフェノール酸モフェチルを用いる移植後レジメンの優越性の可能性が示された.

方 法

第 3 相試験で,造血器腫瘍を有する成人を,シクロホスファミド+タクロリムス+ミコフェノール酸モフェチルを投与する(実験的予防法)群と,タクロリムス+メトトレキサートを投与する(標準的予防法)群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.患者は,強度減弱前処置後に,HLA が適合する血縁者または非血縁者のドナー,HLA の 7/8 が適合(HLA-AHLA-BHLA-CHLA-DRB1 座のうち 1 座のみが不適合)する非血縁者のドナーから HSCT を受けた.主要エンドポイントは 1 年の時点での GVHD 非発症無再発生存率とし,生存時間(time-to-event)解析で評価した.イベントはグレード III または IV の急性 GVHD,全身免疫抑制療法を要する慢性 GVHD,疾患の再発または進行,全死因死亡と定義した.

結 果

実験的予防法群 214 例,標準的予防法群 217 例を対象とした多変量 Cox 回帰分析では,GVHD 非発症無再発生存率は,実験的予防法群のほうが有意に高かった(グレード III または IV の急性 GVHD,慢性 GVHD,疾患の再発または進行,死亡のハザード比 0.64,95%信頼区間 [CI] 0.49~0.83,P=0.001).1 年の時点での補正 GVHD 非発症無再発生存率は,実験的予防法群で 52.7%(95% CI 45.8~59.2),標準的予防法群で 34.9%(95% CI 28.6~41.3)であった.実験的予防法群の患者は,急性または慢性 GVHD の重症度が低く,1 年の時点での免疫抑制療法なしでの生存率が高いように思われた.全生存率,無病生存率,再発,移植関連死,生着に群間で大きな差はなかった.

結 論

強度減弱前処置を行う同種 HLA 適合 HSCT を受けた患者のうち,移植後にシクロホスファミド+タクロリムス+ミコフェノール酸モフェチルの投与を受けた患者は,タクロリムス+メトトレキサートの投与を受けた患者よりも,1 年の時点での GVHD 非発症無再発生存率が有意に高かった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.BMT CTN 1703 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03959241)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 2338 - 48. )