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February 9, 2023 Vol. 388 No. 6

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背部錯感覚症に対するジフェリケファリンの第 2 相試験
Phase 2 Trial of Difelikefalin in Notalgia Paresthetica

B.S. Kim and Others

背景

背部錯感覚症は,上背部の限局した部位の瘙痒を特徴とする神経障害性疾患である.選択的 κ オピオイド受容体作動薬のジフェリケファリン(difelikefalin)は,ほかの慢性瘙痒性疾患に対する有効性が示されており,背部錯感覚症の治療薬として現在検討されている.

方 法

第 2 相二重盲検プラセボ対照試験で,背部錯感覚症に起因する中等度~重度の瘙痒を訴える患者を,ジフェリケファリン 2 mg を 1 日 2 回 8 週間経口投与する群と,プラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は,毎日評価する「最大強度瘙痒の数値評価スケール(WI-NRS)」(スコアの範囲は 0 [痒みなし]~10 [想像しうるもっとも強い痒み])の週平均スコアの,8 週の時点におけるベースラインからの変化量とした.副次的臨床転帰は瘙痒関連 QOL 指標と,瘙痒関連睡眠指標とした.

結 果

126 例が組み入れられ,62 例がジフェリケファリン群,63 例がプラセボ群に割り付けられた.ジフェリケファリン群に割り付けられた 1 例は,初回投与前に同意を撤回したため,主要解析には含めていない.ベースライン時の WI-NRS スコアの平均は各群 7.6(重度の瘙痒を示す)であった.8 週の時点で,WI-NRS の週平均スコアのベースラインからの変化量は,ジフェリケファリン群で-4.0 ポイント,プラセボ群で -2.4 ポイントであった(変化の差 -1.6 ポイント,95%信頼区間 -2.6~-0.6,P=0.001).副次的転帰の結果は,全般的に主要解析の結果を支持しなかった.ジフェリケファリン群では,頭痛,めまい,便秘,尿量増加の発現頻度がプラセボ群よりも高かった.

結 論

背部錯感覚症患者において,ジフェリケファリンの経口投与は,8 週の期間における瘙痒強度のスコア低下がプラセボよりもわずかに大きかったが,有害事象を伴った.背部錯感覚症に対するジフェリケファリン投与の有効性と安全性を評価するには,より長期かつ大規模な試験が必要である.(キャラ セラピューティクス社から研究助成を受けた.KOMFORT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04706975)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 511 - 7. )