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July 6, 2023 Vol. 389 No. 1

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D 型慢性肝炎に対するブレビルチドの第 3 相無作為化試験
A Phase 3, Randomized Trial of Bulevirtide in Chronic Hepatitis D

H. Wedemeyer and Others

背景

B 型肝炎ウイルス(HBV)と D 型肝炎ウイルス(HDV)への重複感染は,B 型慢性肝炎に関連する肝疾患の進行を加速させる.ブレビルチド(bulevirtide)は,HDV の肝細胞への侵入を阻害する.

方 法

現在進行中の第 3 相試験で,D 型慢性肝炎患者を,代償性肝硬変の有無にかかわらず,ブレビルチド 2 mg/日を 144 週間皮下投与する群(2 mg 群),10 mg/日を 144 週間皮下投与する群(10 mg 群),48 週間の無治療期間後にブレビルチド 10 mg/日を 96 週間皮下投与する群(対照群)に,1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.投与終了後は,96 週間の追跡調査を行う予定である.主要エンドポイントは 48 週の時点での複合奏効とし,HDV RNA 量が検出限界未満またはベースラインから 2 log10 IU/mL 以上減少し,アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値が正常化することと定義した.重要な副次的エンドポイントは,48 週の時点での HDV RNA 量が検出限界未満であることとし,2 mg 群と 10 mg 群とで比較した.

結 果

49 例が 2 mg 群,50 例が 10 mg 群,51 例が対照群に割り付けられた.主要エンドポイントである奏効が得られた割合は,2 mg 群 45%,10 mg 群 48%,対照群 2%であった(各用量群と対照群との比較の P<0.001).48 週の時点で HDV RNA 量が検出限界未満であった割合は,2 mg 群 12%,10 mg 群 20%であった(P=0.41).ALT 値が正常化した割合は,対照群 12%,2 mg 群 51%(対照群との差 39 パーセントポイント [95%信頼区間 {CI} 20~56]),10 mg 群 56%(対照群との差 44 パーセントポイント [95% CI 26~60])であった.ブレビルチドの 2 群では,48 週の時点までに B 型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)が消失することはなく,1 log10 IU/mL 以上減少することもなかった.頭痛,瘙痒,倦怠感,好酸球増多,注射部位反応,上腹部痛,関節痛,無力症の頻度は,2 mg 群と 10 mg 群を合わせると,対照群よりも高かった.重篤な治療関連有害事象は発現しなかった.2 mg 群と 10 mg 群では,胆汁酸濃度の用量依存的な上昇が認められた.

結 論

D 型慢性肝炎患者では,48 週間のブレビルチド投与後に,HDV RNA 量と ALT 値が低下した.(ギリアド・サイエンシズ社から研究助成を受けた.MYR 301 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03852719)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 22 - 32. )