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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 7, 2002
Vol. 346 No. 6

  • 生活様式への介入またはメトホルミンによる糖尿病の予防
    Prevention of Diabetes with Lifestyle Intervention or Metformin

    生活様式への介入またはメトホルミンによる糖尿病の予防

    この大規模臨床試験では,糖尿病のリスクが高い人を対象に,糖尿病予防のため食事の改善と運動を,メトホルミン投与と比較した.両介入法とも糖尿病予防に有効であったが,生活様式への介入のほうがメトホルミン投与よりも有効であった.
    メトホルミンは,インスリン感受性を高めることで作用するビグアニドである.メトホルミンは高リスク者の糖尿病のリスクを低下させたが,食事の改善と定期的な運動を行って体重を減らすほうがより有効であった.これらの情報は,米国内の糖尿病高リスク者 1,000 万人にとって重要である.

  • 睡眠時無呼吸症候群における心房ペーシングの利点
    Benefit of Atrial Pacing in Sleep Apnea Syndrome

    睡眠時無呼吸症候群における心房ペーシングの利点

    中枢性睡眠時無呼吸症および閉塞性睡眠時無呼吸症は,ともに睡眠中の無呼吸と呼吸低下の発生により特徴付けられる.また多くの患者は不整脈を併発しており,そのため永久心房ペースメーカーを埋め込んでいる.この研究は,そのような患者において,ベースライン速度より 15 拍 / 分速い心房過剰駆動で,無呼吸と呼吸低下の発生頻度がかなり低下することを明らかにした.
    ペーシングの有効性のメカニズムは不明だが,おそらく迷走神経の過剰な緊張の回復が関与していると考えられる.心房過剰駆動ペーシングが,徐脈を伴わない睡眠時無呼吸症患者に同様の効果をもたらすかどうかは,この研究からは判断できないが,今後の研究課題とするべきである.

  • コレラスイス血清型サルモネラ菌 Salmonella enterica におけるフルオロキノロン耐性
    Fluoroquinolone Resistance in Salmonella enterica Serotype Choleraesuis

    コレラスイス血清型サルモネラ菌 <i>Salmonella enterica</i> におけるフルオロキノロン耐性

    コレラスイス血清型サルモネラ菌 Salmonella enterica は,重篤な全身感染症の起因菌である.台湾における監視システムからのデータは,この血清型におけるフルオロキノロン耐性の急速な出現を報告している.耐性株の割合は,60%に達している.分子タイピングから,耐性分離株の感染源は,食用に飼育されたブタである可能性の高いことが示唆される.
    この報告は,耐性菌の食用動物からヒトへの拡散を示すさらなる証拠である.とくに,サルモネラ菌が他の多くの抗菌薬に対して耐性を示す地域においては,フルオロキノロンが重症サルモネラ感染症の治療に用いられていることから,フルオロキノロン耐性は重大な問題である.

  • 小児悪性神経膠腫における p53 と転帰
    p53 and Outcome of Malignant Gliomas in Children

    小児における悪性度の高い神経膠腫の臨床的・組織学的特徴は,必ずしも有用な予後指標とはならない.この研究は,細胞の生死のさまざまな局面に関与する蛋白 p53 の有無が,小児における神経膠腫の予後を評価するうえで有用であるのかどうかを検討している.多くの p53 陽性細胞を含む腫瘍の小児は,p53 陽性細胞をほとんどあるいはまったく含まない腫瘍の小児より,転帰は一段と不良であった.
    腫瘍中の p53 陽性細胞の数は,高悪性度神経膠腫の小児において,独立した予後マーカーであると思われる.この知見は,高悪性度神経膠腫に対する治療の臨床試験に参加する小児をよりよく層別化することに寄与するかもしれない.

  • Images In Clinical Medicine:ペースメーカー植え込みの合併症としてのアスペルギローマ
    Images In Clinical Medicine: Aspergilloma as a Complication of Pacemaker Implantation

    Images In Clinical Medicine:ペースメーカー植え込みの合併症としてのアスペルギローマ

  • 最近の概念:小児における市中感染性肺炎
    Current Concepts: Community-Acquired Pneumonia in Children

    最近の概念:小児における市中感染性肺炎

    肺炎は依然として小児における頻度が高く重篤となりうる感染症である.この総説では,診断を行い原因を確定するうえでの問題点をまとめ,治療の実際的な指針を示す.診断は,まず,小児の年齢,次に臨床的および疫学的考察,そして最後に胸部 X 線検査での所見に基づくべきである.

  • Clinical Problem Solving:平均的な喘鳴を超えるもの
    Clinical Problem Solving: More Than Your Average Wheeze

    Clinical Problem Solving:平均的な喘鳴を超えるもの

    痰を伴わない咳と喘鳴の既往のある 59 歳の男性が,息切れの増加を訴えた.患者の症状は,気管支拡張薬と吸入コルチコステロイドによる治療法,または副鼻腔炎と食道逆流に対する治療法には反応しなかったが,経口プレドニゾンを服用すると改善している.

  • オレゴン州の尊厳死法 ― 法律と異議申し立て
    Oregon's Death with Dignity Act ― The Law and Challenges

    本誌今週号には,オレゴン州の尊厳死法に関する記事が 2 つ掲載されている.“Health Policy Report”では,Steinbrook が,医師による幇助自殺を合法化した 1994 年のオレゴン州法の概要を述べている.Steinbrook は,疾患末期患者のケアに対する法律の影響と,この法律に関して行われてきたさまざまな法的異議申し立てに関して論じている.最近の異議申し立ては,米国司法長官 John Ashcroft が発した指令である.
    “Sounding Board”では,Lowenstein と Wanzer が,Ashcroft の指令を論じ,それが医療業務に与える影響に関する認識を述べている.著者らは,オレゴン州法に対する司法長官の異議申し立てが,医療業務への不適切な介入であり,医師幇助の自殺とはかけ離れた結果をもつかもしれないと主張している.