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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
April 15, 2004
Vol. 350 No. 16
ORIGINAL ARTICLE
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成人急性骨髄性白血病の予後
Prognosis of Adult Acute Myeloid Leukemiaこの研究は,急性骨髄性白血病の成人では,細胞遺伝学的な状態などの確立された指標よりも,末梢血単球に発現する遺伝子からより多くの予後情報が得られることを示している.著者らは,患者 116 例から得た標本の遺伝子発現プロファイルを解析した.患者はその後,さまざまな集中治療に割付けられた.結果として,全生存率の相違と関連する遺伝子発現について,臨床転帰が良好なクラスと不良なクラスが同定された.これらのクラスは,正常核型の検体に限定して分析を行った場合にも当てはまった.
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急性骨髄性白血病の予後予測に有用な遺伝子発現プロファイル
Prognostically Useful Gene- Expression Profiles in Acute Myeloid Leukemia急性骨髄性白血病 285 症例に関するこの研究では,高度な遺伝子発現プロファイル解析を,細胞遺伝学的所見,変異状態,形態学的特徴と組み合せることによって,患者群を明確に同定した.これらのグループ分けは,治療転帰と関連していた.
この論文は,急性骨髄性白血病患者に対して,予後に関する臨床的に有用な情報を,ただ 1 つの多因子解析により提供できる可能性を提起している. -
重症患者における血清遊離コルチゾール濃度の測定
Measurements of Serum Free Cortisol in Critically Ill Patients重症患者では,グルココルチコイドの分泌が増加すると,血清総コルチゾール濃度が上昇する.この研究では,グルココルチコイドの分泌が最大限に刺激されている重症の病態において,コルチゾール結合蛋白の減少が,血清総コルチゾール濃度と遊離コルチゾール濃度に及ぼす影響を検討した.重症患者ではグルココルチコイドの分泌が著しく上昇していたが,血清総コルチゾール濃度を測定しただけではその上昇は検出できなかった.
低蛋白血症を有する重症患者で血清遊離コルチゾール濃度を測定すれば,グルココルチコイド療法の不必要な実施を回避するのに役立つ情報が得られる可能性がある.
SPECIAL ARTICLE
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米国における胚移植実施に関する傾向
Trends in Embryo-Transfer Practice in the United States米国における生殖補助医療技術に関する傾向を分析した結果,1997 年以降,1 周期当りの生児出生率が着実に増加していることに加え,1 周期当りの移植胚の数と 3 胎以上の多胎妊娠の割合が徐々に減少していることが示された.
CURRENT CONCEPTS
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肝硬変と腹水の管理
Management of Cirrhosis and Ascitesこの総説では,腹水の病態生理に関する最新の知見を要約し,適切な臨床評価を行う方法を説明している.著者らは,腹水のコントロール方法に加え,腹水の管理戦略や,消化管出血,特発性細菌性腹膜炎,肝腎症候群などの重大な合併症の予防戦略について述べている.
MECHANISMS OF DISEASE
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骨転移の機序
Mechanisms of Bone Metastasisこの権威ある調査では,腫瘍細胞が骨形成と骨吸収のバランスを破壊する局所的因子や全身的因子を産生することによって骨転移が起る仕組みを論じている.これらの過程の分子機構に関する研究では,骨転移の治療と予防を改善する可能性のある有力な手掛りが明らかにされている.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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胸痛を急性発症した女性
A Woman with Acute Onset of Pain in the Chest2 週間前に帝王切開で健常な新生児を出産した 38 歳の女性に,咽喉,前胸部,背部に突然痛みが生じた.痛みは発生時にもっとも強く,息切れ,発汗,悪心を伴った.診察では,脈拍は左右対称性,血圧は正常であったが,拡張期雑音が認められた.最初の画像検査では,大動脈根部の拡大と縦隔の炎症性変化,軽度の大動脈弁逆流,心句白剽ッが認められた.この論文では,若い女性に起る急性胸痛の鑑別診断について述べている.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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マウスモデルが遺伝子治療に影響を与える
Mouse Models Influence Gene Therapy遺伝子治療への期待は,重症複合免疫不全症の治療を受けた乳児の T 細胞性白血病発症など,数々の失敗がみられたことから,この数年で弱まっている.しかし,最近の研究は,これらの症例は全体的にみればこの分野にとってわるい前兆ではなく,むしろ遺伝子治療のプロトコールに特定の修正を加えることで,そうした治療により偶然に癌が誘発されるリスクが低下する可能性があることを示唆している.