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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 16, 2008
Vol. 359 No. 16

ORIGINAL ARTICLE

  • 新生児に対する 1 価経口ポリオワクチン 1 型
    Monovalent Type 1 Oral Poliovirus Vaccine in Newborns

    灰白髄炎(ポリオ)の世界的な根絶を目指すうえで考えられる手段の一つは,新たに開発された 1 価経口ポリオワクチン 1 型である.この試験では,エジプトの乳児 421 例に対し,出生時に 1 価ワクチン 1 型または 3 価ワクチンを投与したところ,ポリオウイルス 1 型に対するセロコンバージョンが認められたのは 1 価ワクチン群のほうが有意に多かった(55%に対し,3 価ワクチン群 32%).また,1 価ワクチンのほうが抗原追加投与後のポリオウイルス 1 型の排出の減少に有効であった.

  • ナイジェリアにおけるポリオに対する免疫付与の有効性
    Effectiveness of Immunization against Polio in Nigeria

    ナイジェリアにおけるポリオウイルスの制圧はきわめて困難な課題であり,それが不完全であることで,灰白髄炎(ポリオ)の世界的な根絶という目標が脅かされている.ポリオウイルス制圧のための従来の方法は,主に 3 価経口ポリオワクチンに依存していた.近年は,血清型 1 型に対する防御免疫を改善するため,この血清型の 1 価経口ワクチンが使用されている.ナイジェリアで行われた灰白髄炎に関するこの症例対照研究において,血清型 1 型に対する 1 価ワクチンと 3 価ワクチンの接種 1 回あたりの推定される有効性は,それぞれ 67%,16%であった.血清型 3 型に対する 3 価ワクチンの推定される有効性は 18%であった.

  • マンモグラフィ検診のためのコンピュータ支援検出
    Computer-Aided Detection for Screening Mammography

    検診マンモグラムの評価法に関するこの大規模研究では,マンモグラムごとに 2 人で読影する場合と,コンピュータ支援検出を用いて 1 人で読影する場合の乳癌の検出率を比較した.いずれの方法でも検出率はほぼ同等であったが,要精検率は,コンピュータ支援検出を用いて 1 人で読影したマンモグラムのほうが,2 人で読影した場合よりも,わずかであるが有意に高かった.

  • 染色体 1q21.1 の反復性再構成と小児における多様な表現型
    Recurrent Rearrangements of Chromosome 1q21.1 and Variable Pediatric Phenotypes

    この研究は,多様な表現型と,染色体 1q21.1 のゲノム分節の欠失・重複のそれぞれとのあいだの関連を示したものである.この結果は,発生初期における欠失・重複の基本的役割を示唆し,特定の変異は特定の疾患や症候群の素因となるという考え方に異議を唱えている.

CLINICAL PRACTICE

  • 胃食道逆流症
    Gastroesophageal Reflux Disease

    それ以外の点では健康であるが,20 年にわたりときおり胸焼けを呈する 53 歳の男性が,この 12 ヵ月のあいだに胸焼けが悪化し,睡眠の妨げになるほどの症状が毎日続いていると訴えている.男性によると,嚥下障害,消化管出血,体重減少はなく,むしろ体重は最近 20 ポンド(9 kg)増加したという.この男性の評価と治療について,どのように助言すればよいだろうか?

CURRENT CONCEPTS

  • 鈍的大動脈損傷
    Blunt Aortic Injury

    鈍的大動脈損傷は運転中の急激な減速後に生じるもので,自動車事故後の死因としては頭部損傷に次いで第 2 位となっている.鈍的大動脈損傷の検出には,胸部ヘリカル CT のほうが血管造影法よりも感度が高い.かつては緊急手術による修復が原則であったが,現在では,血管内治療が,複数の重大な損傷を負った患者を含む多くの患者において代替法となっている.血管内アプローチにより,生存率が改善するだけでなく,対麻痺のリスクも低下する.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 再発性の口腔病変と皮膚の疱を有する女児
    A Girl with Recurrent Oral Lesions and Cutaneous Bullae

    10 歳 8 ヵ月の女児が,2 歳時から再発を繰り返す口腔潰瘍と皮膚の水疱のため,小児皮膚科クリニックを受診した.口腔内の白色病変および両足の甲と足の裏の表面,膝,手にみられる小水疱と水疱は,3~4 ヵ月おきに潰瘍化と疼痛をきたし,4 日~2 週間持続し,瘢痕化せずに消失した.2 年前に行われた病変の生検では,表皮水疱症の特徴がみられることが報告されている.診断手技が行われた.