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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 1, 2009
Vol. 360 No. 1

ORIGINAL ARTICLE

  • 死体腎移植における機械灌流保存と冷却保存の比較
    Machine Perfusion or Cold Storage in Deceased-Donor Kidney Transplantation

    この多国間無作為化比較試験では,連続した 336 体の死体ドナーの各一対の腎臓を,片腎を機械灌流保存に,片腎を冷却保存に無作為に割り付けた.全レシピエントを 1 年間追跡した.低温機械灌流保存により,主要エンドポイントである移植後腎機能障害のリスクが低下し,移植後 1 年間の移植腎生着率が改善した.

  • 集中治療室の患者に対する消化管と中咽頭の除菌
    Decontamination of the Digestive Tract and Oropharynx in ICU Patients

    感染は,集中治療室(ICU)における死亡の主な原因である.ICU での感染率を低下させるための戦略としては,セフォタキシムと局所用抗菌薬を 4 日間投与する選択的消化管除菌(SDD)と,局所用抗菌薬の投与のみを行う中咽頭の選択的除菌(SOD)などがある.オランダの 13 の ICU で行われたこのクラスター無作為化試験では,SOD と SDD は粗死亡率には影響を及ぼさなかったが,共変量で補正した 28 日死亡率には,わずかな低下がみられた.

  • 先天性好中球減少症の症候群と G6PC3 の変異
    A Syndrome with Congenital Neutropenia and Mutations in G6PC3

    2 つの血縁家族の児 5 例が,重症先天性好中球減少症,著明な静脈の血管拡張,先天性の心奇形と泌尿生殖器奇形の一方または両方を伴って出生した.全例で,グルコース-6-ホスファターゼの触媒サブユニット 3 の遺伝子(G6PC3)に同様の変異が認められた.患児の好中球はアポトーシスに対する感受性が増大しており,この変異によってグルコース-6-ホスファターゼの酵素活性は消失した.

  • 中枢メラノコルチン系経路による血圧調節
    Modulation of Blood Pressure by Central Melanocortinergic Pathways

    この試験では,MC4R に機能喪失変異を有する被験者は,過体重または肥満の対照者に比べ,高血圧の有病率が低いことが示された.代謝に関する測定結果と MC4R 作動薬の臨床試験の結果から,メラノコルチン系のシグナル伝達は,インスリンに依存しない機序を介して血圧に影響を及ぼすことが示唆された.

  • 巨大破骨細胞とアレンドロネート
    Giant Osteoclasts and Alendronate

    この試験では,健常閉経後女性を対象に行われた,骨吸収の抑制を目的とした経口アレンドロネート投与に関する,3 年間の無作為化二重盲検プラセボ対照複数用量試験後に採取された骨生検検体を検討した.アレンドロネートによる長期療法は破骨細胞数の増加と関連しており,これには,長期化するアポトーシスを起こす特徴的な巨大多核分離破骨細胞が含まれていた.経口窒素含有ビスホスホネートを用いた長期療法により,骨吸収が減少した一方でこのような細胞が認められたことには,臨床的意義がある可能性がある.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • 乳房温存手術後の放射線療法
    Radiation Therapy after Breast-Conserving Surgery

    45 歳の女性に浸潤性乳癌があることが判明し,センチネルリンパ節の郭清を伴う腫瘍切除が行われた.補助化学療法を 6 ヵ月行い,その後放射線療法を施行することが推奨されている.放射線療法により,乳房温存手術後の局所再発リスクは低下することが示されている.非常に重篤な合併症として,肺や心臓の損傷,二次癌などがある.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 偏見をもたない
    Keeping an Open Mind

    67 歳の男性が,3 ヵ月にわたる疲労と発熱のため受診した.男性は 6 年前,特発性心筋症のため心臓移植を受けた.体重減少,寝汗,悪寒はないという.また,頭痛,発疹,関節の腫脹,排尿障害,腹部・呼吸器症状の訴えもない.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 細菌の病原性と生存システム
    Bacterial Virulence and the Living System

    マウスにおいて in vivo で活性化される細菌のセンサーをブロックすると,ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)と野兎病菌(Francisella tularensis)の病原性が抑制される.