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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 19, 2009
Vol. 360 No. 8

ORIGINAL ARTICLE

  • ワルファリン投与量の推定
    Estimation of the Warfarin Dose

    治療的抗凝固療法の目標の達成に必要とされるワルファリンの投与量には,かなりのばらつきがある.この研究では,ワルファリン投与量に関して,臨床的要因のみ,または臨床的要因と遺伝的要因の両方を用いた数学的モデルが構築された.国際的コホートのデータを用いて後ろ向きに検証したところ,遺伝的要因を組み込んだモデルは,臨床的要因のみを用いたモデルよりも投与量の推定に優れていた.

  • 神経膠腫における IDH1IDH2 の変異
    IDH1 and IDH2 Mutations in Gliomas

    IDH1IDH2 がコードするイソクエン酸デヒドロゲナーゼは,脳内における NADPから NADPH への還元を触媒する.WHO グレード II または III の神経膠腫 445 個のうち,70%でこれら 2 つの遺伝子のいずれか一方が変異していることが明らかになった.これらの変異により,IDH1 蛋白と IDH2 蛋白の酵素活性が失われた.この知見から,神経膠腫の発症では,初期に IDH の変異が起こることが示唆される.

  • 閉塞冠動脈に対する遠隔期侵襲的治療後の QOL
    Quality of Life after Late Invasive Therapy for Occluded Arteries

    閉塞冠動脈試験のサブスタディで,梗塞責任冠動脈が閉塞し,状態の安定している高リスク患者を,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行う群と薬物療法のみを行う群に無作為に割り付けた.4 ヵ月の時点では,薬物療法群で心臓に関連した身体機能にわずかな有益性が認められたが,それ以降は認められなかった.PCI 群のほうが治療費が高く,質調整生存期間がわずかに短かった.

CLINICAL PRACTICE

  • 鼻出血
    Epistaxis

    61 歳の男性が,左鼻出血が 1 時間続いたため救急部を受診した.推定で 1/2 カップ程度失血したといい,鼻閉,鼻出血,外傷,出血体質,易傷性の既往はないという.高血圧の既往があり,アテノロールと小児用アスピリンなどを服用している.この患者をどのように評価し,治療すべきであろうか?

MOLECULAR ORIGINS OF CANCER

  • 乳癌における遺伝子発現特性
    Gene-Expression Signatures in Breast Cancer

    この総説では,乳癌における DNA マイクロアレイ解析の結果について論じている.これらの特性は乳癌の分類に有用であり,臨床転帰との関連も示されている.意外なことに,いくつかの有用なマイクロアレイ特性において,遺伝子型の重複はほとんどみられなかった.これらの特性の真の価値は,現在進行中の前向き試験が完了してはじめて明らかになるであろう.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • めまい,顔面の筋力低下,全般てんかんを呈する女性
    A Woman with Vertigo, Facial Weakness, and a Generalized Seizure

    37 歳の女性が,4 ヵ月前からめまいがあり,その後耳鳴,右耳の聴力低下,右顔面の筋力低下が生じ,入院した日には全般てんかんを起こした.入院時,患者は錯乱して闘争的で,発語が不明瞭であり,右顔面の下垂と全身性の反射亢進を呈した.脳と脊髄の MRI により,軟髄膜に多病巣性の線状・結節状の増強効果を認めた.診断手技が行われた.

SOUNDING BOARD

  • 臨床研究のグローバル化の意義
    Implications of the Globalization of Clinical Research

    近年,米国で実施される臨床試験は減少した.発展途上国での実施が著しく増加し,いまや試験実施施設の多くは米国外にある.著者らは,臨床研究のグローバル化がもつ意義について論じ,浮かび上がってきた課題にどのように取り組むべきか勧告を行っている.

SPECIAL REPORT

  • 臨床試験登録の進展と不備
    Progress and Deficiencies in the Registration of Clinical Trials

    2007 年 9 月に,ジョージ・W・ブッシュ大統領は,第 2 相以上の臨床試験の登録とその試験結果の情報公開を義務づける法案に署名した.この総説では,同法の初期の執行状況を概説し,その長所と短所を検討する.