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January 14, 1999 Vol. 340 No. 2

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大腸腺腫の予防のためのカルシウム補充
CALCIUM SUPPLEMENTS FOR THE PREVENTION OF COLORECTAL ADENOMAS

J.A. BARON AND OTHERS

背景

実験,臨床,および疫学で得られた根拠から,カルシウムが大腸腺腫の予防に役立つという可能性が示唆されている.

方 法

そこでわれわれは,大腸腺腫の再発に対する炭酸カルシウムの補充の効果について,無作為化二重盲検試験を実施した.最近の大腸腺腫の病歴がある 930 例の被験者(平均年齢,61 歳;男性,72%)を,炭酸カルシウム(3 g [カルシウム元素として 1,200 mg] の連日)投与またはプラセボ投与に無作為に割り付け,適格性検査後 1 年および 4 年の時点で,追跡調査の大腸内視鏡検査を行った.主要エンドポイントは,1 回目の追跡調査の内視鏡検査から 2 回目の追跡調査の検査(2 回目の追跡調査の検査を含む)までに,1 個以上の腺腫が発見された被験者の割合とした.腺腫の再発のリスク比は,年齢,性別,試験前に発見されていた腺腫の総数,試験の実施施設,観察期間の長さで補正した.

結 果

カルシウム群の被験者は再発性腺腫のリスクが低下した.この試験の大腸内視鏡検査を 1 回以上受けた 913 例では,プラセボとの比較におけるカルシウムの腺腫の再発の補正リスク比は 0.85 であった(95%信頼区間,0.74~0.98;p=0.03).主解析は,2 回の追跡調査の検査を完了した 832 例を対象として行った(カルシウム群 409 例,プラセボ群 423 例).1 回目と 2 回目の追跡調査の内視鏡検査のあいだに 1 個以上の腺腫の診断を受けたのは,カルシウム群 127 例(31%),プラセボ群 159 例(38%)であり,補正リスク比は 0.81 であった(95%信頼区間,0.67~0.99;p=0.04).プラセボ群に対するカルシウム群の腺腫の平均個数の調整比は 0.76 であった(95%信頼区間,0.60~0.96;p=0.02).カルシウムの効果は,試験前の食餌中の脂肪摂取量,カルシウム摂取量とは独立していた.

結 論

カルシウムの補充は,再発性の大腸腺腫のリスクにおける有意な中等度の低下に関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 101 - 7. )