The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 24, 1999 Vol. 340 No. 25

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

慢性閉塞性肺疾患の増悪に対するグルココルチコイドの全身投与の効果
Effect of Systemic Glucocorticoids on Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease

D.E. NIEWOEHNER AND OTHERS

背景

グルココルチコイドの全身投与は,その臨床有効性が明らかにされておらず,しかも重篤な有害事象を発現させる可能性があるにもかかわらず,慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪による入院患者の標準的な治療になっている.

方 法

そこで,われわれは,COPD の増悪に対して,他の治療に加えて,グルココルチコイド(2 週間または 8 週間投与)またはプラセボの全身投与を行う二重盲検の無作為試験を実施した.グルココルチコイド以外の治療の大部分は,6 ヵ月間の追跡調査の全期間にわたった標準化された方法で実施した.主要エンドポイントは治療の失敗であり,これは,何らかの原因による死亡,または挿管し機械的人工換気が必要になること,COPD による再入院,または薬物療法の強化の必要として定義した.

結 果

在郷軍人医療センターの 25 施設における試験参加候補者 1,840 例のうち,271 例が適格であり試験に組み入れた;このうちの 80 例がグルココルチコイド療法の 8 週間の治療コースを受け,80 例がその 2 週間の治療コースを受け,111 例がプラセボの投与を受けた.試験参加候補者のほぼ半数は,本試験の開始 30 日前までにグルココルチコイドの全身投与を受けていたために不適格となった.治療失敗の割合は,プラセボ群のほうが,グルココルチコイドの 2 群を統合した群よりも試験 30 日目の時点で有意に高く(33% 対 23%,p = 0.04),90 日目の時点でも有意に高かった(48% 対 37%,p = 0.004).グルココルチコイドの全身投与は(2 週間群と 8 週間群を合わせて),初回入院の滞在期間の短縮(8.5 日間 対 プラセボ群 9.7 日間;p = 0.03),1 秒量の増大と関連しており,1 秒量は試験組入れ後 1 日目にはプラセボ群よりも約 0.10 L 高かった.統計的に有意な治療の有益性は,試験 6 ヵ月目の時点では明らかではなくなっていた.グルココルチコイド療法の 8 週間のレジメンは,その 2 週間のレジメンよりも優れたものではなかった.グルココルチコイド療法を受けた患者は,プラセボの投与を受けた患者よりも,治療が必要な高血糖症の割合が高かった(15% 対 4%,p = 0.002).

結 論

グルココルチコイドの全身投与による治療は,COPD の増悪による入院患者の臨床転帰を中等度改善させるという結果になっている.そして,この治療の有益性は,治療を開始してから 2 週間までに最大に達する.もっとも頻度の高い合併症は,治療が必要なまでの重症度の高血糖症であった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 1941 - 7. )