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April 1, 1999 Vol. 340 No. 13

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静脈瘤出血の一次予防における内視鏡的結紮術とプロプラノロールの比較
Comparison of Endoscopic Ligation and Propranolol for the Primary Prevention of Variceal Bleeding

S.K. SARIN, G.S. LAMBA, M. KUMAR, A. MISRA, AND N.S. MURTHY

方 法

食道静脈瘤からの出血の一次予防において,プロプラノロール療法と内視鏡的結紮術の比較を行った.今回の前向き比較試験には,出血のリスクの高い大きな静脈瘤(直径>5 mm)を有していた患者のうち,適格患者全員を順次組み入れて対象とした.これらの適格患者を,試験開始時の心拍数を 25%低下させるのに十分な用量のプロプラノロール療法を行う群と,静脈瘤が消退するか,治療を継続できない程度に縮小するまで 週 1 回静脈瘤結紮術を施行する群のいずれかに割り付けた.

結 果

89 例の患者のうち,82 例が肝硬変を合併しており,44 例がプロプラノロールの投与を,残りの 45 例が静脈瘤結節術を受けた.各治療群の追跡調査の平均(±SD)期間は,それぞれ 14±9 ヵ月および 13±10 ヵ月であった.目標とされていた心拍数の低下が得られるまでの平均期間は 2.5±1.7 日であった;静脈瘤の結紮が完了するまでに実施された結紮術の平均回数は 3.2±1.1 回であった.18 ヵ月後における出血の累積発生率は,プロプラノロール群が 43%,結紮群が 15%であった(p = 0.04).実際には,プロプラノロール群の 12 例と結紮群の 4 例に出血が発生した.結紮群の 4 例の出血患者のうちの 3 例は,静脈瘤が消退する前に出血が起った.静脈瘤の再発は,結紮群の 9 例に認められ,その初回治療から再発までの平均期間は 3.7 ヵ月であった.各群の死亡例はどちらも 5 例であった;死因が静脈瘤からの出血であったのは,プロプラノロール群の 4 例と結紮群の 3 例であった.静脈瘤結紮術には重篤な合併症は認められなかった;プロプラノロール群では,副作用のために 2 例で治療が中止された.

結 論

高リスク食道静脈瘤の患者における静脈瘤出血の一次予防では,静脈瘤の内視鏡的結紮術が安全で,プロプラノロールよりも有効である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 988 - 93. )